2023年6月の定例探鳥会を開催します。

千里の鳥・万博の鳥(第127回)「シジュウカラ・ヤマガラの幼鳥」(2023年6月)

 今月の鳥は5月万博公園で観察したシジュウカラ・ヤマガラの幼鳥とした。大阪近郊の平野部~低山で必ず観察できる樹林を象徴する2種で、万博公園にも一年中、生息している。

 万博公園を歩くと、昔から千里丘陵にあった木々がそのまま残っていて、深い樹林になったと思われるほどである。実際は1970年日本万国博覧会が開催され、林立していたパビリオンが終了後に撤去された跡地に、新しく小さな木々を植え、50年経過し生長した人工樹林の姿である。

 万国博覧会終了15年後の1985年にスタートした万博公園探鳥会では、シジュウカラは当初から観察できたが、ヤマガラは観察できなかった(★1)。

 ヤマガラの探鳥会での観察頻度は図のように年々アップし、今ではシジュウカラ同様ほぼ毎月観察できる鳥となった。1985年の万博公園はまだ木々の背丈が低く、樹林としては疎林であったことで、シジュウカラはいたものの、ヤマガラは生息できず、樹林の生長とともに定住し始めたことを示している。

 シジュウカラ・ヤマガラを象徴する行動に「カラの混群」がある。春から夏の子育て期は番(つがい)で生活しているが、繁殖期が終わると、他の鳥と群をつくって、一緒に行動するようになり、「カラの混群」と呼ばれている。万博公園での「カラの混群」はシジュウカラ・ヤマガラを中心に、エナガ・メジロ・コゲラなど留鳥が常連で、稀には秋の渡り鳥のキクイタダキ、冬鳥のヒガラなどが入っていたこともある。

 混群はそれぞれ鳥が自由に行動しており、エナガは樹冠付近、ヤマガラは太い木の枝、シジュウカラは林の中ほどから地上に、コゲラは幹を上下するなど、それぞれ自分の好む餌を探しつつ移動している。ヤマガラがエゴの実、メジロが花の蜜など好きな餌を見つけると、やや遅れ気味になり、群れから別れることもあるが、通常はエナガを先頭に、コゲラが最後尾で、10羽から数10羽の群として続く。

 混群になる最大の理由は、ハイタカなど捕食者から身を守るためといわれている。どの種かの1羽が危険を察知した時の声で、群全体の小鳥が危険を知ることができ、「周囲を警戒する目と耳が多い安全性の高い集団にいる」ことになる(★2)。

 さて、3年間続いたコロナ禍から解放され、感染症法上「2類相当」であった新型コロナは、5月8日からはインフルエンザレベルの5類相当に引き下げられた。マスク着用については個人の判断に委(ゆだ)ねられているが、基礎疾患のある方、公共交通機関で参加される方は、マスク着用を推奨されているので、必要に応じて着用できるよう、探鳥会参加時にはマスク携帯をお願いする。

①日本野鳥の会大阪支部主催

・名称 万博公園6月定例探鳥会
・日時 6月10日(土) 午前9時30分
・集合 自然文化園中央口
・解散 15:00頃日本庭園内の予定
・持ち物 弁当、マスク(携帯)
・担当 平 軍二 他
・内容 今年は5月に梅雨入りで、季節の移ろいが早くなっているが、万博公園は今年生まれた鳥の子供たちが観察できる季節、鳥の子との出会いを楽しみに園内を一巡する。
・参加費 会員100円、非会員300円
・参加希望 大阪支部HPより申込のこと
 HPからの申込が難しい方は平あて連絡 

② 吹田野鳥の会主催

・名称 万博公園平日探鳥会
・日時 23年6月15日(木)9:30
・集合 自然文化園中央口
・解散 12:00頃自然文化園内の予定
・持ち物 マスク(携帯)
・担当 渡辺明信 他
・内容 大阪支部定例会に続き、鳥の子供たちとの出会いを楽しむ。
・参加費 吹田会員無料、非会員200円
・参加希望  平(ひら)宛 メール or 電話で申込

上記①②に関する問い合わせは平(ヒラ)軍二 へ

メール   g-hira@nifty.com
携帯電話  090-6901-1425


★文献1 平「万博公園定例探鳥会記録」
  〃2 ピノッキオ編著「鳥のおもしろ私生活」主婦と生活社、他  

 **** 写真 ****

  種名:シジュカラ幼鳥、ヤマガラ幼鳥
  撮影日:2023年5月13日
  場 所:万博公園
  撮 影:橋本昌宗