野鳥の撮影を考える・撮影時のマナーについて

野鳥観察・撮影マナーを考える

ちょっと待って、あなたの行動が大好きな鳥の生活に影響を与えていませんか。
ちょっと待って、あなたの行動が、地元の方や周囲の方の迷惑になっていませんか。

○野鳥の生活を第一に考えよう

鳥は、単なる被写体ではありません、自然の中で自分の力で生活している生き物です。
私たちは、自然の中で鳥の生活の一端を見せてもらっているという謙虚な気持ちを忘れてはいけません。
観察や撮影によって、鳥の生活を脅かすことは避けなければなりません。
春から夏の季節は、多くの鳥たちにとって最も大切な子育ての時期です。繁殖期における鳥の観察や撮影については特に慎重さが求められます。鳥にとっては、観察者が全く巣や営巣地に近づかないことが、いいのですが・・・。

鳥たちの生活を脅かさないように、鳥の巣には近づかないことが、基本ですが、営巣中の巣を発見し、観察しようというときには、以下のような配慮をお願いします。

○ 繁殖期における観察(撮影)の一般的な注意点

1 抱卵期:観察・撮影はNG、巣を見つけてもすぐにその場を立ち去ろう。
抱卵時の鳥の観察は、最も慎重さが求められます。巣の中をのぞいたり、巣の近くの長時間とどまることで、親鳥が巣に戻らず、卵が冷えてしまったり、親鳥が巣を放棄する可能性が大きいので、すぐにその場を立ち去りましょう。警戒心の強い猛禽類では、特に注意が必要で。双眼鏡やカメラのレンズを向けただけで、巣を放棄するケースも報告されています。ストロボなどの人工照明を利用した撮影などは絶対に行うべきではありません。


2 育雛期(巣内にヒナがいる状況):
鳥の種類やヒナの成長具合などによって、配慮すべき内容は異なりますが、基本的には上記の抱卵期同様、営巣を放棄させるようなことにならないように細心の注意が必要です。ここでは、カメラマンは親鳥の巣への出入りやヒナへの給餌シーンなどの撮影を目的とされるのでしょうが、鳥への影響は避けられません。巣の近くに人がいることで、親鳥がヒナに給餌できずにヒナが死んでしまうケースも考えられますし、カラスなどの天敵に巣の存在を教えることになる可能性もあります。また、観察や撮影の影響で、危険を感じた親鳥がヒナの巣立ちを早
めてしまうケースもあります。育雛期の観察や撮影は避け、ヒナのいる巣を見つけてもすぐにその場を立ち去りましょう。


※保護、研究、普及教育など、野鳥保護につながる特定の目的を持った観察や撮影の場合
鳥の生態に十分配慮し、必要に応じ、巣の場所から十分離れた場所にブラインドを設置し、その中から双眼鏡や望遠鏡を使って観察や撮影をおこなう。また無人のビデオカメラ等の設置等により、野鳥に影響を与えないような工夫が必要。親鳥の状況を観察して、巣に戻らないなどの変化があれば、ただちに観察を切り上げることが必要。決して無理をしないこと。研究や保護のためといっても、鳥に悪影響を与えることは本末転倒です。

○鳥をよく知ることが大切

鳥の種類や個体の警戒心の幅などの条件によって、
観察や撮影などの許容される範囲は異なります。
種類や個体によっては全く人に対し警戒心を持た
ず、目の前で普段通りの生活を見せてくれるものも存
在します。また遠い距離から望遠鏡で巣の様子が観察
できるような鳥(都市公園内の池で繁殖するカイツブ
リなどの水鳥)の場合は、繁殖に影響を与えない形で
の観察や撮影が可能でしょう。
ただし、人家に営巣するツバメであっても、個体に
よっては巣の下に人がいれば、ヒナに給餌しに戻って
こないという臆病なものもいます。
営巣期の鳥の観察や撮影は全くしてはならないと
いうことではなく、鳥の生態や個体の特性をよく理解
したうえで、鳥に影響を与えない距離をとるなど配慮
して、行うことは許容されるものだと思います。

○多くの人が集まることでさらなる問題が・・・

現在、インターネット上での鳥の情報などをもとに、カメラマンに特に人気の高い特定の種(サンコウチョウ、アカショウビン、ヤマセミなど)の営巣地に多くの人が集まり、繁殖への悪影響が危惧される事例や周辺の人たちに迷惑をかけているなどの話題が毎年のように伝わってきています。営巣情報を人から聞いたり、また人に教えたりして、観察や撮影に出かけることは、避けましょう。一人の観察、撮影時間が短くても、何人もの人が観察や撮影に出かけると、鳥にとっては大きなストレスとなり、営巣を放棄することにもなりかねません。

会員の皆さんでホームページやブログを開設されている方へのお願い

営巣中の画像や情報については、公開しないようにお願いします。たとえ繁殖期が終わったあとであっても、また鳥の生活に配慮して撮影された画像であっても、不特定多数の方の目にとまる形での公開は行わないようにお願いします。画像を見た鳥の生態を知らないカメラマンなどが、同じような写真を撮りたいと考え、行動することで、鳥の繁殖に思わぬ悪影響を与えることとなったり、周辺の住民の方に大きな迷惑をかけてしまう可能性があります。
特に以下の画像は、ホームページやブログに載せないでください。
・営巣中の画像(巣作り・卵・抱卵・雛・巣での給餌)
・背景などで営巣地と特定できる場所で撮影した画像
・オオタカなど絶滅危惧種のヒナや幼鳥の画像


※ 本会会誌等での営巣写真の取り扱い
本会の会誌等では、原則営巣写真は掲載しないこととしていますが、例外として繁殖への影響を十分配慮して撮影し、なおかつ保護を広く訴えるためには欠かせない写真や貴重な繁殖の観察記録を示す写真等に限り掲載する場合があります。

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(広報G)