2021年8月14日の定例探鳥会はお休みです。

千里の鳥・万博の鳥(第105回)「ハッカチョウ親子」をお楽しみください。

コロナ第3次緊急事態宣言は6/20に解除されるとともに、万博公園の臨時休園も解除された。しかし「安全確認作業のため立入規制区域」が設けられ、上津道のほとんどが通行できないため、野鳥を中心とする生き物の観察できる範囲が、大幅に減少している。

そんなことから今月は有賀氏が吹田市川園町で写されたハッカチョウの親子を、千里の鳥・万博の鳥「番外編」として紹介する。

ハッカチョウはムクドリ科で全長は26~27㎝とムクドリに似ているがやや大きい真っ黒な鳥である。地上を歩いている時は、頭部前方を飾っている冠羽が目立ち、飛翔すると翼にある大きな白い斑点が目立つ。

ハッカチョウはもともと中国中南部・台湾・ベトナム・ラオス・ミャンマーなど、東南アジアに生息している鳥である。沖縄県などで観察されるハッカチョウは近くの台湾などから飛来したと予想されるが、本州で見られるものは、飼い鳥として輸入された外来種が、逃げ出して野生化した「かごぬけ鳥」である。ハッカチョウは江戸時代から人に飼われてきた鳥とのことなので、かごぬけの頻度は多かったと思われるが、大阪近郊の山地で良く観察されているかごぬけ鳥のソウシチョウに比し、観察数が少なくそれほど広がっていない。

大阪府鳥類目録によるとハッカチョウは1983年5月に豊中市での繁殖確認が最初で、その後、大阪府内あちこちで記録されている。★1

また、大阪自然史博物館和田岳氏はハッカチョウ分布を調査中であるが、2003年~2017年の間での大阪府内の繁殖確認は40ヶ所と報告されている。繁殖地は府内一円に広がっていて、吹田市では2014年に安威川沿い南正雀で記録されている。★2

今回、有賀氏はその南正雀より安威川1㎞ほど下流の川園町で確認されているが、摂津市・大阪市を含めた安威川・神崎川沿い、そして淀川沿いでも確認されており、毎年繁殖が続いていると思われる。

ハッカチョウは林のある住宅地,ヨシ原・河川敷・草原・農地などに住んでおり、草の実・昆虫を食べていると思われるが、今後吹田市での分布が広がるかどうか、また、近縁のムクドリとの関係がどうなるかなど興味が尽きない。

さて、コロナ禍の状況は一進一退、7月に入って東京を中心に大波、大阪も小波~中波と予断が許さない状況にある。幸い、コロナワクチンの接種が進んでいるので、高齢者への感染が少なくなって、重症者が増えないことを期待したい。
暑い8月は、熱中症対策も必要で当初から探鳥会の夏休みとしているが、今年はコロナ対策でマスクをしながらの開催は厳しいことから、9月まで探鳥会を中止する。 
密にならないご自分のフィールドで、熱中症対策を十分にして身近な鳥たちや、それを育んでいる身近な自然を、
「一人ウォッチング」
で楽しんでくださるように。

(参考文献)
★1 大阪府鳥類目録2014 日本野鳥の会大阪支部
★2 和田岳「日本のハッカチョウ分布調査」大阪市立自然史博物館
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/wada/Aliens/Hakka.html

**** 写真 ****
 種 名:ハッカチョウの親子
 撮影日:2021年7月11日
 場 所:吹田市川園町
 撮 影:有賀憲介