千里の鳥・万博の鳥(第136回)「トラツグミ」(2024年3月)
スローガンの「アレ」で盛り上がり、ついに38年ぶりに日本一に輝いた阪神タイガース、今回は2月の万博公園探鳥会で観察した全身がトラ模様の鳥、「トラツグミ」を紹介する。
トラツグミは嘴~尾の長さの体長が30cmとヒヨドリ並み、通常のツグミは24㎝であり、大阪近郊で見られるツグミの中では最も大きい鳥。写真のように頭部から腰、そして翼など、黄褐色で黒い鱗状の斑「トラ模様」が密にあり、一目でトラツグミとわかる。
シベリア東南部~中国東北部、朝鮮半島・日本などで繁殖し、冬季は日本南部~フィリピン、インドシナ半島・インド東部などに渡り越冬する。日本では留鳥または漂鳥として周年生息し、本州・四国・九州の低山から亜高山帯で繁殖しており、北海道には、夏鳥として渡来する。
大阪府内では、北部の北摂山地や南部の金剛・和泉山地などでトラツグミの繁殖記録はあるが、平野部では冬鳥として良く観察できる(★1)。
ツグミ・シロハラ・トラツグミは、越冬時に地上で虫を探すが、3種を比較すると「ツグミは開けた場所、シロハラは林縁のやや日陰、トラツグミは暗い林床」とすみ分けている。トラツグミは雑木林などの地面で、積もる落ち葉をかき分けながら、土中のミミズを探して食べていることが多いが、カキの実に来ることもある。
トラツグミの異名はヌエ(鵺)、森の中から夜に「ヒヨー・ヒヨー」と人の泣くような気味の悪い声で鳴くため、「ヌエが鳴くとだれか死ぬ」など、人の死と結びつけて恐れられた。
平家物語に出てくるヌエ退治、平安時代に近衛天皇が病床にあった時、毎夜御所の紫宸殿の上から不気味な鳴き声がした。警護の源三位頼政がその声をめがけて矢を放ち、怪物を仕留めることができたが、『頭はサル、胴はタヌキ、尾はヘビ、手足はトラ、声はヌエ』に似ていたとのことである(★2)。
このように声を聞くと気味の悪い鳥のヌエも、今後は姿を見ていただいて、阪神タイガースの鳥として楽しんでもらえるのでないでしょうか。
さて、3月の探鳥会、北帰行の日が近づいて餌さがしに余念のないツグミなどの冬鳥、春の歌を歌い始めたシジュウカラなどとの出会いを楽しみに、万博公園を一巡する予定である。
① 日本野鳥の会大阪支部主催
・名称 万博公園3月定例探鳥会
・日時 3月9日(土) 9:30
・集合 自然文化園中央口
・解散 15:00頃日本庭園内の予定
・持ち物 弁当・水筒、マスク(自由)
防寒対策を充分に
・担当 平 軍二 他
・参加費 大阪支部会員100円、非会員300円
・参加希望 大阪支部HPより申込のこと
HPからの申込が難しい方は平あてにメール
or 電話連絡のこと
② 吹田野鳥の会主催
・名称 万博公園平日探鳥会
・日時 3月19日(火) 9:30
・集合自然文化園中央口
・解散 12:00頃自然文化園内の予定
・持ち物 水筒、マスク(自由)、弁当(自由)
・担当 平 軍二 他
・参加費 吹田野鳥の会会員無料、非会員200円
・参加希望 平宛 メール or 電話で申込
上記①②の問い合わせ、申込などは平(ひら)へ
メール g.0501.hi@gmail.com
電話 090-6901-1425
文献★1 大阪府鳥類目録2016(日本野鳥の会大阪支部)
文献★2 国松俊英「鳥のことわざうそほんと」
1990年山と渓谷社
**** 写真 ****
種名:トラツグミ
撮影日:2024年2月10日
場 所:万博公園
撮 影:橋本昌宗