2023年7月の定例探鳥会を開催します

千里の鳥・万博の鳥(第128回)「ジョウビタキ」(2023年7月)

 通常、ジョウビタキは冬鳥として公園や住宅地で良く観察できるが、しぐさが愛らしいこと、遠くへ飛び去ることなく、長い時間観察し続けることができることから、人気の鳥である。そのジョウビタキ(雄)が、6月10日万博公園定例探鳥会で観察されたので、記録として残しておきたく今月の鳥として紹介する。

 ジョウビタキはチベットから中国東北部・沿海州・バイカル湖周辺で繁殖し、非繁殖期は日本・中国南部・インドシナ半島北部へ渡り、越冬する鳥。万博公園では同じ冬鳥のツグミ・シロハラが5月連休頃まで残っているのに対し、ひと月以上早く4月初旬に繁殖地へ渡去するため、4月探鳥会で観察することが少ない鳥であるが、今回6月探鳥会で全員が観察できた。

 写真で見られるソメイヨシノの葉の色からも、越冬期のジョウビタキでないことがわかる。しかも、今シーズン万博公園探鳥会でのジョウビタキ観察は3月までだったので、4・5月の2か月ブランク後の確認となった。

 ジョウビタキは日本で繁殖していない鳥、1983年に北海道で繁殖が確認されたが、定常的でなかった。しかし2010年代に入って、中国山地や岐阜県・長野県・北海道など、点々としているが定常的に繁殖するようになったとのことである(★1)。

 6月のジョウビタキ観察は大阪での初記録と思われ、万博公園で繁殖するかと思われたので、その後も注目しているが、ジョウビタキの姿は見当たらない。繁殖地へ北帰行の途中、どこか餌事情の良い所で長くとどまったため、遅れて渡った個体と推定される。

 ジョウビタキは、「ヒッヒッ」の地鳴きが火打石をたたく音に似ているとして「ヒタキ」と呼ばれていた。ルリビタキなど、よく似た地鳴きをする鳥がいるため、雄の頭が写真のように銀髪であることから老人の「尉(ジョウ)」をつけ、ジョウビタキになったとのことである。そのこともあって、俳句で季語として詠まれる「ヒタキ」はジョウビタキが多いとのことである。(★2)

 11月~3月、冬鳥ジョウビタキは人に近い所で生活していて、尾を振りながら挨拶してくれる人気者、餌場も近くにあると思われ中、見過ごされやすい餌源の一つに「ヘクソカズラ」がある。ヘクソカズラ全体に嫌な臭いがあるつる性の野草で、万葉集で既に「屎蔓(クソカズラ)」と詠まれていた悪名を持つ(★3)。ヘクソカズラは垣根や植木にまとわりついて育ち、秋になると丸い実が黄金色に輝いてくるが、この実がジョウビタキの餌となり、一日に何回か巡回してきて、採食していると思われる。

 さて、コロナがおちつきマスク着用については個人の判断に委(ゆだ)ねられているが、基礎疾患のある方、公共交通機関で参加される方は、マスク着用を推奨されているので、必要に応じて着用できるよう、マスク携帯をお願いしたい。そして今の季節、熱中症対策のため水分補給を十分できるようにして参加していただきたい。

①    吹田野鳥の会主催
・名称 万博公園自然観察会
・日時 23年7月1日(土)9:30
・集合 自然文化園中央口
・解散 12:00頃自然文化園内の予定
・持ち物 マスク(携帯)、
・担当 平 軍二 他
・内容 万博公園に生育している吹田市絶滅危惧種の野草、そして園内で生まれた野鳥の子供たちとの出会いを楽しむ。
・参加費 吹田会員無料、非会員200円
・参加希望  平(ひら)宛 メール or 電話で申込
② 日本野鳥の会大阪支部主催
・名称 万博公園7月定例探鳥会
・日時 7月8日(土) 午前9時30分
・集合 自然文化園中央口
・解散 15:00頃日本庭園内の予定
・持ち物 弁当、マスク(携帯)
・担当 平 軍二 他
・内容 暑い夏は子育てを終えた鳥たちが夏休みに入るため、観察種数は少なくなるが、今年生まれた鳥の子供たちがほぼ一人前に育っている所を観察する予定。
・参加費 会員100円、非会員300円
・参加希望 大阪支部HPより申込のこと
 HPからの申込が難しい方は平あて連絡
上記①②に関する問い合わせは平(ヒラ)軍二 へ
メール   g-hira@nifty.com
携帯電話  090-6901-1425 

★文献1 鳥類繁殖分布調査会「全国鳥類繁殖調査報告2016-2021年」2021年10月
★文献2 国松俊英著「名前といわれ野山の鳥」1995年 偕成社
★文献3 木村陽二郎監修「図説草木名彙辞典」1991年柏書房  

 **** 写真 ****
 種名:ジョウビタキ(雄)
 撮影日:2023年6月10日
 場 所:万博公園
 撮 影:橋本昌宗