千里の鳥・万博の鳥(第126回)「アリスイ」(2023年5月)
今月の鳥はアリスイ、4月度万博公園定例探鳥会で日本庭園心字池上流側の木の根元にいて、地上のアリを捕まえる行動、何回も首を上下に動かしている所を観察した。
アリスイはキツツキ科で体長18㎝、コゲラの15㎝より幾分大きい小鳥である。通常キツツキといえば木の幹を縦に移動している姿を見るが、アリスイは木の幹を垂直に上ることはなく、普通の小鳥のように、横枝に止まっている。
アリスイの漢字名は「蟻吸」で、長い舌をアリの巣へ入れ、アリを吸いとるように捕食する。江戸時代(1712年)の百科事典「和漢三才図会」に「蟻吸鳥」と記載されているとのこと(★1)、300年前にアリスイの行動が知られていたことになる。
鳥の学名は「属名」と「種小名」の組み合わせで表示されるが、アリスイはJynx torquilla、属名は「ジンクス」、種小名は「首を捻(ねじ)るもの」を表している。アリスイは首をかしげるような動きをすること、またアリを吸うための長い舌と合わせ、ヘビの擬態とされている。更に属名のジンクス、キリスト教ではヘビは悪魔の化身とされるとのことから、「アリスイ→ヘビ→不吉」になるとのこと、日本では「ジンクス」は吉兆・凶兆どちらにも使われるが、欧米では「ジンクス」は凶兆にしか使わないとのことである(★2他)。
このアリスイは、ユーラシア大陸亜寒帯に繁殖地があり、冬は日本~東南アジア、インド・アフリカ中部などが越冬地となっている。
大阪府内では冬鳥として、秋~春に記録されており、淀川河川敷などでほぼ毎年観察される(★3)。万博公園定例探鳥会(38年間)としては初記録となった(★4)。しかし、春の渡り鳥調査では数回観察記録があるので、渡り時に万博公園を通過していることに気づかなかったようである。
さて、3年間続いたコロナ禍がようやく落ち着いてきたことから、感染症法上「2類相当」であった新型コロナは、5月8日からはインフルエンザレベルの5類相当に引き下げられた。マスク着用については個人の判断に委(ゆだ)ねられているが、基礎疾患のある方、公共交通機関で参加される方は、マスク着用を推奨されているので、必要に応じて着用できるよう、探鳥会参加時にはマスク携帯をお願いする。
①日本野鳥の会大阪支部主催
・名称 万博公園5月定例探鳥会
・日時 5月13日(土) 午前9時30分
・集合 自然文化園中央口
・解散 15:00頃日本庭園内の予定
・持ち物 弁当、マスク(携帯)
・担当 平 軍二 他
・内容 ツグミ・カモなど冬鳥がすべて繁殖地へ渡去し、園内で子育て中の留鳥のシジュウカラ・ウグイスのさえずりが響く。遅れて渡るメボソムシクイなどとの出会いを楽しみに園内を一巡する。
・参加費 会員100円、非会員300円
・参加希望 大阪支部HPより申込のこと
HPからの申込が難しい方は平あて連絡
② 吹田野鳥の会主催
・名称 南港野鳥園探鳥会
・日時 23年5月20日(土)12:00
・集合 現地展望塔(南港テクノポート線トレードセンター前駅下車、西へ15分)
・解散 15:00頃自然文化園内の予定
・持ち物 弁当、マスク(携帯)
・担当 田中 宏 他
・内容 吹田市にはいない春の渡りのシギ・チドリを観察。当日の大阪湾の干潮時間の関係で、12時集合とする。
・参加費 吹田会員無料、非会員200円
・参加希望 平(ひら)宛 メール or 電話で申込
上記①②に関する問い合わせは平(ヒラ)軍二 へ
メール g-hira@nifty.com
携帯電話 090-6901-1425
★文献1 「鳥の手帖」 浦本昌紀監修小学館1990年、★文献2 「アリスイ」バードリサーチNews2015年、★文献3 「大阪府鳥類目録2016」日本野鳥の会大阪支部、★文献4 平「万博公園定例探鳥会記録」
**** 写真 ****
種名:アリスイ
撮影日:2023年4月8日
場 所:万博公園
撮 影:橋本昌宗