千里の鳥・万博の鳥(第125回)「ハクセキレイ」(2023年4月)
今月の鳥はハクセキレイ、大阪近郊では留鳥として一年中いるが、冬は先月のヒヨドリ同様北からくる個体も加わるため数が多く、芝生広場でハクセキレイがよく観察できる。ハクセキレイは体長21㎝と小鳥類で中型でスマートな鳥。ユーラシア大陸の温帯~亜寒帯まで広く分布しており、冬季はインドシナ半島~アフリカ中部の熱帯地方にまで南下し越冬する。
今は留鳥として四季を問わず観察できるハクセキレイであるが、1990年代までは冬鳥、万博公園内では繁殖子育てをしていなかったが、今では留鳥としての先住者セグロセキレイよりも数多く、一年中観察できるようになった。
ハクセキレイが何故定住するようになったかの理由は分かっていないが、万博公園では競合している日本特産種のセグロセキレイを追いやっていると思われるのが、残念である。例えば、2022年度1年間、12回の万博公園定例探鳥会での観察記録を見ると、
ハクセキレイ 12回とも観察 134個体
セグロセキレイ 7回のみ観察 16個体
と圧倒的にハクセキレイが多くなっている。(★1)
ハクセキレイの繁殖地が南下して増加している状況は全国的にもデータで示されており、万博公園のみのことではなかった。全国鳥類繁殖分布調査報告(★2)によると、
1974~78年 繁殖A+Bランク 199か所
2016~21年 〃 354か所
と倍増近くなっており、マップ上では1970年代に繁殖していなかった近畿~九州南部が、2020年には繁殖範囲に入っている。
このようなハクセキレイ、先月3/11の探鳥会で、「水すましの池」の周囲石垣上から水面へ飛び立ち、池の上を一回りして元の位置に戻る特徴的な行動が観察できたので、橋本昌宗氏の写真で紹介する。
このハクセキレイは、池の上を群れ飛ぶユスリカを採食していたと思われるが、近くのシダレヤナギの枝からはヒヨドリが同じように池を一巡し柳に戻っていた。
さて、探鳥会は3年間コロナ禍に振り回されてきたが、ようやく落ち着いてきたようである。現在新型コロナは感染症法上の2類相当であるが、5月には通常のインフルエンザレベルである5類相当に引き下げられることになっている。
4月探鳥会はこれまで通りマスク着用を継続し、5月以降についてはその時点の状況を見て対応を決める予定である。
越冬のため大阪近郊に来ている冬鳥が渡去直前、今年秋まで見られなくなるツグミ・シロハラなどに別れを告げるとともに、南から渡ってくる夏鳥を迎える季節、どんな鳥に出会えるか楽しみに探鳥会に参加しませんか。
①日本野鳥の会大阪支部主催
・名称 万博公園4月定例探鳥会
・日時 4月8日(土) 午前9時30分
・集合 自然文化園中央口
・解散 15:00頃日本庭園内の予定
・持ち物 弁当、マスク必携
・担当 平 軍二 他
・内容 繁殖地へ北帰行まで残り少なくなり、栄養補給に余念のないツグミ・シロハラ・アトリなどの冬鳥や、万博公園に残って繁殖準備に入ったシジュウカラやハクセキレイなどとの出会いを楽しみに園内を一巡する。
・参加費 会員100円、非会員300円
・参加希望 大阪支部HPより申込のこと
HPからの申込が難しい方は平あて連絡
② 吹田野鳥の会主催
・名称 万博公園探鳥会
・日時 4月23日(日)午前9時30分
・集合 自然文化園中央口
・解散 14:00頃自然文化園内の予定
・持ち物 弁当、マスク必携
・担当 平 軍二 他
・内容 当日探鳥会を一時中断し、吹田野鳥の会総会を開催、終了後探鳥会を再開の予定。春の渡り鳥オオルリ・キビタキなどが通過する頃、期待しながら園内を一巡したい。
・参加費 吹田会員無料、非会員200円
・参加希望 平(ひら)宛 メール or 電話で申込
上記①②に関する問い合わせは
平(ヒラ)軍二 へ
メール g-hira@nifty.com
携帯電話 090-6901-1425
★文献1 平軍二「万博公園定例探鳥会記録」
★ 〃 2 :鳥類繁殖分布調査会「全国鳥類繁殖分布調査報告」2021年
**** 写真 ****
種名:ハクセキレイ
撮影日:2023年3月11日
場 所:万博公園
撮 影:橋本昌宗