2022年7月の探鳥会を開催します。

2022年7月9日(土)万博公園定例探鳥会のご案内

開催要領は万博公園定例探鳥会のご案内を参照してください。

千里の鳥・万博の鳥(第116回)「セグロセキレイ幼鳥」(2022年7月)

 今月は万博公園で生まれたセグロセキレイの幼鳥を紹介する。セグロセキレイ体長21㎝、近縁のハクセキレイとは姿・形・大きさともよく似ているが、セグロセキレイの地鳴きが「ジジッ ジジッ」と濁っているのに対し、ハクセキレイは「チュチン チュチン」と澄んでいるので、声を聞くとわかる。また両種の幼鳥の違いは、図鑑に書かれている特徴で識別しようとしてもわかりにくいが、今回の写真で見られる個体は、眉斑が後にあり短いので、眉斑がはっきりしているハクセキレイでなく、セグロセキレイと分かる。いずれにしても1羽のみでは判断に迷うことが多く、数多く見慣れる必要がある。

 セグロセキレイは日本と朝鮮半島南部でのみ観察できる日本特産種であるが、ハクセキレイはユーラシア大陸(極東~西欧)、そしてアフリカ大陸にも分布している。おそらくあまり遠くない昔、セグロセキレイはハクセキレイから分化したと思われるため、両種はよく似ているが、同じところに住んでいても、交雑はあまりないようである。

 万博公園で探鳥会を始めた1985年にはセグロセキレイは留鳥として一年中観察できたのに対し、ハクセキレイは繁殖地が日本より北にある冬鳥であった。そのハクセキレイが繁殖期(5~7月)にも探鳥会で観察でき、留鳥化したのは2000年以降である。両種は留鳥として繁殖個所が競合していると思われるのに、最近ではハクセキレイが良く観察できるので、セグロセキレイが追い出されるのでないかと心配している。どっこい「そうは問屋が卸さない」との姿が、今月のセグロセキレイ幼鳥である。

セグロセキレイの珍しい光景の事例として、セグロセキレイ白化個体を観察したことを紹介したい。1993年10月探鳥会で全身真っ白いセキレイを観察したが、声からはセグロセキレイと分かった。93/11、94/3にも観察、94/5探鳥会報告★には「昨秋から定着している真っ白いセグロセキレイは、真っ白でない普通の幼鳥を連れていた」と報告している。それ以後記録はないが、万博公園で一生を終えたものと思っている。

 鳥の白化個体は、氷河期に保護色となるために持っている白変の遺伝情報が、何らかの原因で表面化して、白化個体になったといわれている。

 このような日本特産種のセグロセキレイが、ハクセキレイとの生存競争に負けることなく、万博公園で毎年幼鳥が育つことを願っている。

1993 1206加藤俊二氏セグロセキレイ白化個体

 さて今年は6月末に梅雨明け宣言されるという早い夏、暑い日が続きそうである。コロナ禍でマスクが外せないが、先ずは熱中症に最大の注意を払いながら、時には、人から2m以上離れてマスクを外すことも必要かと思われる。

 そんな中、日本野鳥の会大阪支部ではこれまで通り、申込制・定員制で探鳥会を開催する。


大阪支部 万博公園7月定例探鳥会
・日時 7月9日(土) 午前9時30分
・集合 自然文化園中央口
・解散 15:00頃日本庭園内の予定
・担当 平(ひら)軍二 他
・持ち物 熱中症予防に水をたっぷり
・内容 万博公園で子育てを終えてほっとしている親鳥や、一人立ちしてエサ探しに元気に動き回っている幼鳥たちが観察できる7月、なるべく涼しい所を歩きながら、観察する予定。
・参加希望 事前に大阪支部HPより申込みのこと

  • 吹田野鳥の会の自然観察会は7月2日に実施済、8月は夏休みで、次回9月に開催します。

上記、大阪支部万博探鳥会及び吹田野鳥の会探鳥会に関する問い合わせ、(HPでの申込みが難しい方も)
平(ヒラ) 軍二 へ
メール   g-hira@nifty.com
携帯電話 090-6901-1425

★万博公園探鳥会報告 93年9月~94年5月

**** 写真 ****
 種名: セグロセキレイ幼鳥
 撮影日:2022年6月24日
 場所: 万博公園
 撮影者:有賀憲介