1月の探鳥会は中止します。

2022年1月8日万博公園定例探鳥会は中止します。

開催要領は万博公園定例探鳥会のご案内のページをご覧ください。

千里の鳥・万博の鳥(第110回)「アトリ」(2022年1月)

今シーズン冬鳥が少なく、最もポピュラーなツグミ・シロハラの姿がほとんど見ない珍鳥状態にあり、アトリは万博公園では観察できるものの小群である。

年末に北陸・近畿北部が大雪となり、エサが取りにくくなった筈で南下すると思われ、新年には大阪近郊に冬鳥が増えることを期待している。

今月有賀氏の写真で紹介するのは、万博公園の冬を赤く彩るアトリが、アキニレの実をついばんでいる所である。万博探鳥会は昭和60(1985)年2月にスタートしたが、アトリは翌昭和61年1月探鳥会で観察した後、ほぼ毎冬、多いときは数百羽、少ない年でも数十羽の群を観察してきた。万博公園にアトリが多いのはアキニレが多数植栽されているためである。(但し、今冬は枝切りされたアキニレが多いので、実は少ない)

アキニレに来る鳥はアトリだけでなく、カワラヒワ・マヒワ・イカル・コイカル・シメ・ウソなどがあり、万博公園に来たアトリ科の鳥のほとんどをアキニレで観察している。このようにアキニレに来る鳥が多いのに、鳥の食べる木の実として、アキニレを記載した文献を見つけることができなかった。

野鳥写真家として有名な叶内拓哉氏による「野鳥と木の実」には150種ほどの木の名前が載っているが、アキニレはなかった(★1)。叶内氏は植木屋さんから野鳥写真家に転身された方なので、アキニレを植栽された経験があったと思われ不思議であったが、改定版ではアキニレが記載されているとのことである。

たまたま見つかったヘンリー・D・ソロー(米国)の「森を読む」に「ムネアカイカルがニレの種子を食べているのを見たことがある」との記載があった(★1)。この原文は1860年ごろに書かれたとのこと、日本では徳川末期になるが、その頃にアトリ科の鳥がニレの種子を食することを観察する優雅な人!!がいたことに感銘を受けた。

アトリ科の鳥は、 嘴が大きく、硬い木の実(種子)を食べることが知られているのに、アキニレのように小さく柔らかい実を好むのが何故かわからないままである。アキニレは9月下旬に花が咲き、10月には青い翼果をつけるが、すぐに留鳥カワラヒワが実を食べに来る。私は鳥の食べる木の実のほとんどを試食することにしているが、アキニレの青い翼果の中心にある種子は、噛んでみると稲の青い穂の未熟な米粒を噛んだと同じような感じで、ぬめり気が出てくる。12~1月には今回の写真のように実は枯葉を思わせる褐色に変化しているが、このころアトリ・カワラヒワ(・マヒワも)など、最盛期である。2月になると実が地上に落ちるので、地上でアキニレの実を探している。

更に3月は同属のハルニレに花が咲き、4月にハルニレの青い実が生ると、北帰行直前のアトリ(マヒワ・イカル・シメ)が集まっている。ハルニレの実が無くなる4月下旬には、アトリ(イカル・シメ)などの冬鳥は繁殖地に向け出発している。

さて、年末に入って新型コロナ(オミクロン株)の状況が気になるところであるが、1月探鳥会も会員の方のみで事前申込・定員制として開催する。参加を希望される会員の方、下記に申し込んでくださるようお願いする。

1.日本野鳥の会大阪支部万博公園探鳥会

日時 1月8日(土) 9:30~12:00
場所 自然文化園中央口(太陽の塔前の入口)
内容 自然文化園内で、ツグミ・シロハラ・アトリなど    を観察する予定
終了予定 12:00頃 自然文化園内
担当 平 軍二他
申込 日本野鳥の会大阪支部HP

万博公園探鳥会受付様式(formzu)より 

2.吹田野鳥の会服部緑地探鳥会

日時 1月15日(土)9:00~12:00
場所 北大阪急行緑地公園駅西出口広場
内容 服部緑地は大きな池があり、池ごとに違うカモがいて、10種前後のカモが観察できる。
担当 田中宏氏他
終了 服部緑地内の予定
申込 g-hira@nifty.com (平)

 問い合わせ 1.2.とも 090-6901-1425(平)

(文献)

★1 叶内拓哉著「野鳥と木の実ハンドブック」 2006年11月(文一総合出版)
★2 ヘンリー・D・ソロー著、伊藤詔子訳
「森を読む・・・・種子の翼にのって」 
1995年2月発行(宝島社)

**** 写真 ****

 種 名:アトリ
 撮影日:2021年12月16日
 撮影者:有賀憲介