2023年9月定例探鳥会のご案内

千里の鳥・万博の鳥(第130回)「チョウゲンボウ」(2023年9月)

①-チョウゲンボウ
②-カラスに追われるチョウゲンボウ

 8月定例探鳥会は中止したが、リーダーによるモニタリングを8/26日実施した。連日暑い日が続いている中、季節を先取りし秋の渡り鳥のはしりと思われるチョウゲンボウの幼鳥2羽が、EXPOパビリオン周辺でゆっくり観察できた。

 チョウゲンボウはハト大(雄33㎝~雌39㎝)の鳥。もともと山地の崖で繁殖していたが、最近は平野部の建物を岩場に見立てて繁殖するようになり、川べり周辺などで繁殖が拡大している鳥である。

 万博公園探鳥会でのチョウゲンボウ観察は、冬鳥として数年に1回程度の稀な鳥であったが、ここ数年は複数回の観察が記録されるようになった。万博公園周辺の吹田市・豊中市でもチョウゲンボウ観察例が増えており、吹田市では安威川沿いでの観察例が多くなっていたが、、冬or春秋の渡りの季節で、繁殖期ではなかった。

 大阪府内で猛禽類の繁殖状況を調査・記録されている大阪希少鳥類研究グループの報告によると、チョウゲンボウ繁殖数は2006年に1番だったが、2013年に4番、2015年に12か所と増えていること、チョウゲンボウが増えている理由として、三つの特徴が上げられている(★1)。

 第一は獲物の幅が広いことで、同属のハヤブサが鳥類中心であるのに対し、チョウゲンボウは昆虫・小型爬虫類・小型哺乳類・鳥類と、魚類以外は何でも食べることにある。第二は営巣場所、都会に住むようになり人工建造物に隙間や穴が無限?にあること、第三には他の猛禽類にはない集団営巣(コロニー)を形成することができるので、番間に広いテリトリーを必要としないことである。

 このように大阪近郊で増えているチョウゲンボウ、日本全体で見ると、もともとは東日本で留鳥、西日本で冬鳥であった(★3)。1970年代は山地の崖に営巣していたが,1990年代以降は平地の都市部にあるビルや橋などの人工物にも営巣するようになり、2010年代は近畿地方や中国地方にも営巣するようになったとのことで、大阪府の状況と一致している。

 今回、EXPOパビリオンで観察した2羽のチョウゲンボウ、建物や樹木に止まっていると、複数羽のカラスに追いかけられ、ゆっくりできる状況でなかった。万博公園外で生まれて、万博公園にきたため、カラスの洗礼を受けていたと思われる。 さて、コロナ禍が落ち着いたと思ったら猛暑日が続き、9月に入っても厳しい残暑の日々が続いている。

そんな暑さで声は少ないものの、鳥たちの秋の渡りを始めている。熱中症予防を十分にして秋の渡り鳥、コサメビタキ・キビタキの小鳥や、タカのなかまを楽しみに、探鳥会に参加しませんか。

①日本野鳥の会大阪支部主催
・名称 万博公園9月定例探鳥会
・日時 9月9日(土) 午前9時30分
・集合 自然文化園中央口
・解散 15:00頃日本庭園内の予定
・持ち物 弁当、マスク(自由)熱中症対策に水分補給を十分に
・担当 平 軍二 他
・内容 秋の渡りの季節、どんな鳥に出会えるかを楽しみに園内を一巡する。
・参加費 会員100円、非会員300円
・参加希望 大阪支部HPより申込のこと
 HPからの申込が難しい方は平あて連絡 

②吹田野鳥の会主催
・名称 高槻萩谷総合公園タカ渡り観察会
・日時 23年9月24日(日)8:50
・集合 JR摂津富田駅北口バス乗り場①番
    (9:05発萩谷行乗車、萩谷総合公園下車)
・解散 12:00頃萩谷総合公園内の予定
・持ち物 弁当・マスク(自由)
     熱中症対策に水分補給を十分に
・担当 平 軍二 他
・内容 タカ渡りのメッカ長野県白樺峠を飛び立ったサシバ・ハチクマ、2日後に高槻上空を通過すると思われるのを観察する。
・参加費 吹田会員無料、非会員200円
・参加希望  平(ひら)宛 メール or 電話で申込

上記①②に関する問い合わせは平(ヒラ)軍二 へ

メール   g-hira@nifty.com
**** 写真 ****
①チョウゲンボウ幼鳥
②カラスに追われるチョウゲンボウ
  撮影日:2023年8月26日
  場 所:万博公園
  撮 影:橋本昌宗

文献★1大阪希少鳥類研究グループ「希少鳥類生息調査報告報告21」 2016年度 文献★2 鳥類繁殖分布調査会「全国鳥類繁殖調査報告2016-2021年」2021年10月