2023年8月の探鳥会はお休みです。

千里の鳥・万博の鳥(第129回)「コサメビタキ」(2023年8月)

 今月の写真は7月探鳥会で観察した夏鳥「コサメビタキ」の幼鳥、万博公園で初めてコサメビタキが繁殖したことを報告する。

 コサメビタキは体長13㎝とスズメよりやや小さい鳥。夏季に日本・中国東北部・ロシア東部などで繁殖・子育てし、冬季はインド~インドネシア・タイ・フィリピンなど東南アジアで越冬する。日本では夏鳥として渡来し、北海道~九州の山地~平地の落葉樹林などで生息しており、大阪近郊では、平野部をぐるり取り囲む北摂山地・生駒金剛山地・和泉山地などの樹林で繁殖・子育てをしている。

 万博公園など平野部にある公園は、コサメビタキが春・秋の渡りの季節に休憩地として利用されており、特に秋の渡りの季節は9月~10月と期間が長く、よく観察できる。

 コサメビタキは全体が灰褐色の地味な色で他のヒタキ類、キビタキ・オオルリのように目立たないが、目の周りの白いリングでくっきりした瞳が目立ち、双眼鏡や望遠鏡で目が合うと、吸い込まれるような感じがする。コサメビタキは明るい林の枯れた枝先に止まっていて、餌となる昆虫を見つけると追いかけフライングキャッチし、また元の位置に戻る行動が良く観察でき、人気の鳥である。

 春の渡り時も通過しているが期間が短いこと、しかも同じヒタキ科のキビタキ・オオルリが明るく爽やかな歌声(さえずり)を響かせるため、樹林の奥にいても声でわかるが、コサメビタキのさえずりは複雑で、小さな声なので、両種に比べると観察しにくい鳥である。

 そのコサメビタキ、万博公園で今年6月後半に幼鳥を見たとの情報があり期待していたが、7月定例探鳥会では、全員で幼鳥を確認することができた。

 これまで コサメビタキは、大阪府内の山地では繁殖していたが、平野部の公園での繁殖は確認されていなかった(★1)。

 20年近く前に平地の公園での繁殖を開始したキビタキに続き、コサメビタキの公園繁殖デビューでないかと思われる。

 さて、野鳥は冬と同じ羽毛を身に着けていることから暑さに弱く、また子育てを終えた親たちは一年使って傷んだ羽を脱ぎ変える「換羽中」であることから、あまり動かず声も出さずに静かにしており、観察しにくい季節である。

 このため、8月は日本野鳥の会大阪支部万博公園定例探鳥会、吹田野鳥の会探鳥会とも夏休みとしている。

 9月になると、鳥たちの秋の渡りが始まることから、探鳥会を再開することを、次月千里タイムズに案内を掲載していただきますので、野鳥との再会を楽しみに、元気に真夏の暑さを乗り切っていただきますように。

 **** 写真 ****

  種名:ジョウビタキ(幼鳥)
  撮影日:2023年7月8日
  場 所:万博公園
  撮 影:橋本昌宗