千里の鳥・万博の鳥(第145回)「アオジ」(2024年12月)
先月11/9の探鳥会でアオジがアベリアの上にいて額(がく)を咥えていたので紹介したい。
ケヤキの丘高台休憩所から北側の傾斜地には、一面にアベリア(ハナゾノツクバネウツギ)が植栽されており、アベリアが根元から多くの枝が出ていて空間を作ることもあって、越冬中に休んでいるアオジを毎冬観察してきた。
これまでのアオジは、危険を感じるとアベリアの根元に逃げ隠れる姿を見ていたが、今回、アベリアの上にアオジが乗っていて、花後にも残っている額を食べている所を初めて観察した。
アベリアにアオジが来ているので、額の付け根に実が熟していると思っていたが、付け根に実のふくらみは無かった。アベリアが中国原産のシナツクバネウツギの雑種のことで、花が咲いても実が熟することがないとわかった。通常鳥が食べるのは栄養価のある木の実(種子)であるが、アベリアの額に栄養価があるのかどうか?である。
アベリアは庭木や公園によく利用されているが、植栽地の土質を問わず、耐寒性や耐乾性に優れ、剪定にも耐えることもあって、利用が多くなっている(★1)。
アベリアの花にアゲハチョウなどのチョウが吸蜜しているのを見ることが多い。アベリアは5~11月の間ずっと花を咲き続けるので、都会に住むチョウの吸蜜植物としては非常に有用な植物になっており、間接的であるが、鳥の栄養源の昆虫を育てている(★2)。
アオジは日本国内でも、本州中部以北に留鳥として,北海道では夏鳥として分布しているが、万博公園では11月~翌年4月の半年間、越冬している。ホオジロ科の鳥ではホオジロ・カシラダカ・ミヤマホオジロなども過去には万博公園で観察され、中でもホオジロは万博公園内で繁殖していたこともあったが、今では冬鳥として渡来することさえ稀で、アオジ以外は珍鳥状態にある。万博公園が開園された頃、木々が小さく園内のすべてが草原状態にあったが、今では園内すべてが高木の樹林となり、草はらの好きなホオジロ科の鳥は、アオジのみとなっている。
さて今年もあと20日あまりになった。暑い夏が続いて、日本は四季の国から夏冬の二季のみ、熱帯地方並みの気候になったのでないかといわれるほどであった。
このためか鳥の世界で冬鳥の渡来が遅れており、ポプラ―なグミの姿がほとんど見られない。
とはいえ、ジョウビタキ・アオジなどは例年通り渡来しているので、12月の探鳥会では遅れている鳥たちも例年通りに到着していることを期待し探鳥会を開催したい。
①日本野鳥の会主催
・名称 万博公園定例探鳥会
・日時 12月14日(土) 午前9時30分
・集合 自然文化園中央口
・解散 15:00頃日本庭園内の予定
・持ち物 弁当、水筒、筆記具
・担当 平(ひら) 軍二 他
・内容 ツグミ・シロハラ・アトリ・アオジなど冬鳥との出会いを楽しみに、園内を一巡する予定
・参加費 日本野鳥の会会員100円、非会員300円
・参加希望 大阪支部HPより申込のこと
HPからの申込が難しい方は平あて連絡
②吹田野鳥の会主催
・名称 千里緑地探鳥会
・日時 12月17日(火) 午前9時
・集合 阪急山田駅1Fバスターミナル
・解散 12:00頃阪急バス佐竹台6丁目バス停付近の予定
・持ち物 水筒、筆記具
・担当 渡辺明信 他
・内容 王子池から千里第4緑地(高町池・海老池など)をめぐり、ヒドリガモ・オシドリなどのカモやカワセミを楽しむ予定。
・参加費 吹田野鳥の会会員無料、非会員200円
・参加希望 平 軍二宛メール or 電話で申込
上記①②に関する問い合わせは平(ひら)軍二へ
メール g.0501.hi@gmail.com
電話 090-6901-1425
(文献)
★1 上原啓二著:「樹木ガイドブック」(加島書店)
1983年、 他
★2 練馬いきものつながり制作:「いきものつながり」(文一総合出版)2011年
写真
——————————————————–
種 名:アオジ
撮影日:2024年11月9日
場 所:万博公園
撮 影:橋本昌宗
———————————————————