2024年8月の鳥(コサギ)

8月の定例探鳥会は夏休みです。

千里の鳥・万博の鳥(第141回)「コサギ」(2024年8月)

 先月の万博公園定例探鳥会(7/13)で、コサギを観察したので、紹介する。
白鷺と呼ばれている全身白いサギの仲間は、体の大きさによってダイサギ・チュウサギ・コサギと呼ばれており、3種の大よその体長(嘴の先~尾の先)はダイサギ90㎝、チュウサギ70㎝、コサギ60㎝である。コサギと聞くと子供のサギと勘違いされることもあるが、コサギは他のサギの子でなく独立した種である。
 万博探鳥会でのサギの観察頻度(=観察回数/探鳥会回数)を、万博探鳥会を開始した1985年頃と30年を経た2015年頃を比較すると、コサギ90%➝60%、ゴイサギ40%➝0%、アオサギ40%➝90%、ダイサギ0%➝20%で、コサギ・ゴイサギが減り、アオサギ・ダイサギが増増えている(★1)。
尚、チュウサギはこの間に87年・94年・04年・05年に各1回ずつ観察しているのみと非常に稀である。
 全国繁殖地調査でも万博公園の観察頻度傾向と似ており、コサギ・ゴイサギの繁殖地が減少し、アオサギ・ダイサギの繁殖地が増加している(★2)。この理由として、コサギ・ゴイサギなど2010年代に繁殖地減少が顕著だった種は小型の魚を食べる種という共通点があり、外来魚の増加に伴う小魚の減少や,圃場整備にともなう水田の水生生物の減少などの影響が推定されている。一方アオサギ・ダイサギなど大型魚食性の鳥は、1970年代に農薬や水質汚染で減少していたが、そこから回復しているためと推定されている。
 コサギは繁殖期に河川近くやため池などの近くの林に、木々の小枝を重ねた巣をつくるが、ダイサギ・アオサギなども一緒の場所で子育てを行うことが多く、コロニー(集団繁殖地)と呼ばれている。
万博公園周辺では北側にある茨木市耳原公園(の小さな島)がサギ類のコロニーとなっており、コサギ・ゴイサギ・アオサギ・アオサギが競って子育てをしている。

 コサギは池・川・田んぼなどが餌場、小さめの魚・エビ・カニ・ザリガニ・貝類・水棲昆虫類など、水中や水辺にいる小動物が食べ物で、浅瀬を走り回ったり、脚をふるわせて泥の中の生きものを追い出したりして捕まえている。今回万博公園でコサギの餌取りが観察されたが、千里ニュータウン周辺にコロニーが無いと思われるので、茨木市の耳原公園や淀川流域など市外のコロニーから餌取りのため、出張してきているのでないかと思われる。
 農村地帯であれば田んぼの緑色の中にまっ白なコサギの姿を見ることができるが、千里ニュータウンだけでなく吹田市全体でも田んぼがほとんどないので、緑と白の優雅なコントラストを見る機会が少なく残念である。

 さて猛暑日の続く季節となったが、冬と同じ羽毛の身に着けている鳥たちは暑さが大の苦手、日ごろ万博公園の林を我が物顔にしているヒヨドリさえも今はクマゼミに林の主権を譲っており、木陰で静かに休んでいる。そのため8月探鳥会は、日本野鳥の会大阪支部、そして吹田野鳥の会ともに夏休みとしており、次回は9月14日の万博公園定例探鳥会になる。

(文献)
★1万博探鳥会観察記録(日本野鳥の会大阪支部)
★2全国鳥類繁殖分布調査(2021)鳥類繁殖分布調査会
 
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   種 名:コサギ
   撮影日:2024年7月13日
   場 所:万博公園
  撮 影:橋本昌宗
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コサギ