2022年11月12日(土)万博公園定例探鳥会を開催します。
千里の鳥・万博の鳥(第120回)「アトリ」(2022年11月)
朝夕急な冷え込みから冬鳥を期待していた時、有賀氏より万博公園にアトリ到来の連絡をいただいた。
アトリはカムチャッカ・ロシア東部~欧州スカンジナビア半島までの亜寒帯で繁殖し、日本・中国~欧州の温帯で越冬、ユーラシア大陸を南北に移動する小鳥で、万博公園には冬鳥として毎冬渡来している。
アトリは体長(嘴~尾の長さ)16㎝、スズメや同科のカワラヒワよりもやや大きい小鳥。冬の万博公園にはカワラヒワも多く、アトリ・カワラヒワとも尾の先が同じ逆M字型であるが、カワラヒワの黄色味に対しアトリはオレンジ色味で、飛びながら鳴く声も違うので、アトリが渡来したとわかる。
アトリは群で飛ぶ鳥、「集鳥(あっとり)」からアトリとなったともいわれているが、万博公園では多い冬には数百羽、少ない年でも数十羽を群で観察できる。大阪府平野部の他公園に比し、アトリが数多く観察できるのは、万博公園にアトリの主食としているアキニレの実が多いためである。
下図に万博探鳥会でのアトリの観察頻度を示した。アトリの観察頻度が徐々に増えているのは、1970年大阪万博後に植樹されたアキニレが大きくなるとともに、実が多くなったことも一因と思われる。最近観察頻度が60%近くなっているのは、冬鳥として10~4月の7か月間も生息していることを示している。(★1)
アトリの漢字名に「獦子鳥」と書かれるが、獦は狩りとのこと、狩りの時に狩り子が大勢いるように、アトリも林に大群でいるので付けられたとのことである。または「花鶏」とも書かれるが、アトリ全体の色彩がカラフルであるためといわれている。(★2)
奈良時代に編纂された万葉集巻20-4339には
「国巡る阿等利(アトリ)鴨鳧行き廻り・・・・・」とあり、
「国から国へとめぐるアトリ・カモ・ケリのように・・・・・」
とのこと、今から1200年前にアトリ・カモは渡り鳥と歌われているのにびっくりする(ケリの渡りは?)。(★3)
数年に一度であるが、数万羽~十数万羽とも言われるアトリの大群がニュースとなり、ヒノキなど針葉樹林や、草刈り後の田んぼなどでの観察が、放映されることがある。
今月写真のアトリ、2羽ともほぼ同じ色合いで見分けにくいが、胸のオレンジ色が鮮やかさから上の鳥が雄、下の鳥が雌と思われる。今は雄雌とも頭の色が淡橙褐色で似ているが、来年2月頃になると雄の頭が真っ黒に、りりしく変身する。この変化は羽が生え変わるのでなく、羽の先端の淡橙褐色部が擦り切れて、真っ黒な基部が出てくるためといわれている。
さて、コロナ禍はようやく落ち着いたと思っていたが、陽性者数に漸増傾向がみられるなど予断を許さない。そのため探鳥会は申込制・定員制、そしてマスク着用を継続することとしたい。
① 日本野鳥の会大阪支部主催
・名称 万博公園11月定例探鳥会
・日時 11月12日(土) 午前9時30分
・集合 自然文化園中央口
・解散 15:00頃日本庭園内の予定
・担当 平 軍二 他
・内容 冬鳥のはしり、アトリ・ジョウビタキ・ツグミなどとの出会いを楽しみに園内を一巡する。
・参加費 会員100円、非会員300円
・参加希望 大阪支部HPより申込のこと
(平宛メール or 電話連絡もOK)
② 吹田野鳥の会主催
・名称 千里ニュータウン探鳥会
・日時 11月23日(水・祝)午前9時00分
・集合 阪急南千里駅改札口
・解散 12:00頃桃山公園春日大池周辺の予定
・担当 平 軍二 他
・内容 千里ニュータウン南部の千里南公園・佐竹公園・桃山公園にある池をめぐり、カモやカワセミを観察する予定。
・参加費 会員無料、非会員200円
・参加希望 平(ひら)宛 メール or 電話で申込
上記①②に関する問い合わせ、及び
①についてHPで申込が難しい方も
平(ヒラ) 軍二 へ
メール g-hira@nifty.com
携帯電話 090-6901-1425
★文献1「万博公園探鳥会20周年記念誌」2004年 にその後のデータ追記 平
文献2 「名前といわれ・野山の鳥」 国松俊英著
偕成社 1995年、 他
文献3 「鳥の手帖」 浦本昌紀監修小学館1990年
**** 写真 ****
種名: アトリ
撮影日:2022年10月21日
場所: 万博公園
撮影者:有賀憲介