大阪府のまん延防止は解除されたものの、赤信号が継続されているため、今週末予定の万博定例探鳥会は中止を継続します。
千里の鳥・万博の鳥(第113回)「コゲラ」(2022年4月)
今月は木の幹を縦にのぼっていく体長15㎝とスズメほどの小さなキツツキ、コゲラを紹介する。初めて探鳥会に参加された方に、「キツツキの仲間『コゲラ』がいますよ」と説明すると、「えっー、キツツキがいるの!」とびっくりされる。キツツキは奥深い山林にいると思い込んでおられるためであるが、コゲラは万博公園や千里ニュータウン内の公園、そして千里緑地などの樹林で普通に繁殖子育てをしている。
都市公園にコゲラがいるのはその公園内に植えられた樹木が大きくなり、コゲラが繁殖・子育てをするための巣穴が掘れる枯れた木や、枯れ枝ができたことによる。例えば万博公園では、探鳥会を始めた最初1985年にコゲラを観察したのは冬のみであったが、徐々に増え1990年頃には定住(繁殖子育て)した。
コゲラの繁殖分布を図鑑で見ると、ロシア南東部・サハリン・朝鮮半島・中国東北部・日本列島など東アジアの限られた地域であるが、日本では全国の山地~平野部の樹林に繁殖している。
全国繁殖分布調査は過去3回実施されているが、繁殖記録メッシュが増加傾向にあり、特に1990年代以降は都市の緑地で繁殖するようになって分布拡大が顕著であると報告されている。★1
コゲラは子育てを終えたあとの初秋から早春のほぼ半年、「カラの混群」と呼ばれている群れの中で生活している。「カラ」はシジュウカラ科の鳥、「混群」は異なる種の鳥が1つの群になるこというが、メンバーはシジュウカラ・ヤマガラなどの他、コゲラ・エナガ・メジロ、山地ではヒガラ・コガラ・ゴジュウカラ、時にはキクイタダキが入ることもある。
混群は一緒に動いているといっても早い種遅い種があり、エナガはほぼ先頭、しんがりは間違いなくコゲラである。それぞれ種により求めるエサが違っているためで、コゲラの場合は木の幹をつつきながら縦に上がり、梢近くなると周辺の木の下方に移る、幹の下~上移動を繰り返すため、メンバーより遅れる。それでも懲りずに混群を後から追いかけていくメリットは、全員でタカなど捕食者を警戒するので、1羽1羽は警戒時間が減り、採食時間が長くとれるためといわれている。
今の季節は混群から離れ、それぞれ種ごとに子育て中である。自然林に住むコゲラのつがいは直径300~500mの縄張りを持つとのことで、小さい体でかなり広い範囲を独占していることになり、万博公園にコゲラの繁殖数がそれほど多くない理由がわかる。
コゲラには長い舌があり、木の幹を突いて虫がいる場所がわかると、舌を伸ばして虫を引っ張り出して捕食する。今月の写真はコゲラが幹で見つけた獲物を口に咥えているところを拡大して表示してある。
また、コゲラの雄雌はと聞かれた時、後頭部の左右に赤い羽(斑)をもつのが雄と説明するが、めったに見ることができないので、運良く見えたときは、心の中で「ヤッター」と叫んでいる。
さてコロナ第6波、大阪府では「まん延防止等重点措置」期限が3月22日で切れたものの、4月6日現在も赤信号が継続されている。4月24日まで「年度替わりの警戒集中期間」として警戒を呼び掛けているためかと思われる。
日本野鳥の会大阪支部では赤信号終了までは定例探鳥会は中止としてきた経緯もあり、当面中止を継続することとしている。そこで日本野鳥の会大阪支部万博公園定例探鳥会(4/9)は、中止をすることにしたい。
吹田野鳥の会万博公園(平日)探鳥会は4/24であり、4/15頃までに大阪府の警戒信号が黄信号or緑信号に改善された場合などには、申込制で開催するので、下記連絡先の平あて確認ください。
春の渡り鳥の先駆者、ツバメの飛ぶ姿が観察できるようになり、キビタキ・オオルリなどの夏鳥もうすぐ到着し、万博公園など都市公園で春の歌を聞かせてくれる頃となった。
多数でのウォッチングは中止していても、爛漫の春を感じながら、一人ウォッチングを楽しんでくださいますように。
★1 全国鳥類繁殖分布調査報告
2016~2021 (2021.10. 24) 鳥類繁殖分布調査会
**** 写真 ****
種名:コゲラ
撮影日:2022年3月15日
場所:万博公園
撮影者:有賀憲介
連絡先 平 軍二
090-6901-1425
g-hira@nifty.com