2021年9月11日の探鳥会は中止です。

千里の鳥・万博の鳥(第106回)「バンの幼鳥」(2021年9月)

バンはクイナ科の仲間、吹田市内では留鳥(又は夏鳥)として、あちこちの池に住んでいるので、繁殖・子育てを身近に観察できる鳥の一種である。

バンはユーラシア大陸、アフリカ、南北アメリカなど世界中の熱帯・温帯域に広く分布している。日本でも全国で繁殖しているが、北海道・東北地方では夏鳥、関東以南では留鳥である。池や川・湿地・蓮田・水田など草の生えた水辺に住み、植物の葉や昆虫、貝など小動物を食べている。

バンは全長32㎝とほぼキジバト大の鳥、成鳥は全身がほぼ黒色で、脇腹に白い斑が目立つ。くちばしの先端は黄色く、付け根から額は赤色、足は黄緑色で付け根が赤色など、見た目は地味な鳥であるが、所どころに明るく鮮やかな色の部分がある。

バンは池のヨシやガマの中に作った巣に卵を産み、子を育てる。2回目の子育てには、最初に生まれて独り立ちした幼鳥が、子育てを手伝ういわゆる「ヘルパー」になることが知られている。

今月の写真は古江台「はぎのき公園・上池」で生まれたバンの幼鳥、全体が淡褐色で顔の周りは白っぽい。この子がヘルパーを経験したかどうかわかっていないが、バンの特徴である長い足指で体重を支え、水面に広がったスイレンの上を歩く特技を披露している。

「カモの水かき」という諺は、水面で気楽そうに泳ぐカモが、水面下では水かきを絶えず動かしているとして、「人に知られない苦労がある」ことのたとえとして使われている。一方バンは足指に水かきがないため、全身を使って泳いでおり、波紋が周りに大きく広がる。「カモの水かき」の小さな波紋と違い、バンは目に見えるほど、泳ぎに苦労をしていることがわかる。

このバンの漢字名は鷭、昔から水田に多く住んでいたことから、田んぼの番をしている鳥として名付けられたようである。

さてコロナ禍、緊急事態宣言が発令され、9月12日までを予定されているが、今のところ宣言解除には程遠い状況にある。

日本野鳥の会大阪支部、吹田野鳥の会とも9月までは探鳥会中止を決めているが、今の状況を見ると10月も中止を継続せざるを得ないと思っている。

9月に入って暑さは和らいでいるものの、熱中症対策を十分にした上で、密にならないご自分のフィールドで、身近な鳥たちや、それを育んでいる身近な自然を、

一人ウォッチング」で楽しんでくださるように。

**** 写真 ****

 種 名:バンの幼鳥
 撮影日:2021年8月10日
 場 所:吹田市古江台
 撮 影:有賀憲介

バンの幼鳥