大阪支部主催の端緒会は9月末まで全て中止です。
千里の鳥・万博の鳥(第103回)「カイツブリ幼鳥」(2021年6月)
今月紹介する鳥は「カイツブリ」、体長26㎝と日本にいるカイツブリの仲間は最も小さい水鳥。同じ池に住むカモの仲間に比べると一回りも二回りも小さく、「カモの子供?」と聞かれたこともある。カイツブリは留鳥として一年中同じ池に住んでいて、警戒心も強いが、潜って逃げることができるためか、周辺の小さなため池にもいてよく観察できる。
カイツブリの特技は潜ること、体は水をはじき体温を保てるよう、びっしり羽毛におおわれており、足は泳ぎやすいよう極端に後ろについている。足の指が水を掻きやすくするよう木の葉のような弁足で(オオバンと同じ)、水掻きと舵の働きをしている。水中に潜っている時間は15~20秒、時には30秒ほど見えなくなり、10m以上離れた所に浮き上がって顔を出す。
泳ぎに特化したカイツブリは、足の位置が後ろ過ぎ、立つことが難しく、歩こうとしても転びやすいので、陸地に上がることがほとんどない。また、空を飛ぶのもあまり好まないようであるが、危険を感じてか水面上を直線的に飛ぶことがあり、時にはそのまま池の堤を超えていなくなることがあり、飛べないわけではない。
カイツブリの名前は「(水を)掻きつ潜りつ」が略されたとのこと、また古くから「鳰(にお)」と言われ、カイツブリが多かった琵琶湖を「鳰の海」、水面上に作られるカイツブリの巣は「鳰の浮巣」と呼ばれている。
浮巣は池にあるヨシなど水草の茎や葉を、水面上に何層も積み重ねて作るが、大雨で水面が上昇した時水没することがあり、再度巣材の水草を運んでいる。
鳰の浮巣で生まれたカイツブリのヒナは早成性で、ふ化後すぐに泳ぎだすが、エサを自分で取ることを覚えるまでに時間がかかるためか、顔に白黒の縞模様の愛らしいヒナが、親の背中に乗っているところを観察することができる。
今月、有賀氏の写真はカイツブリ幼鳥、顔が白黒でヒナの面影が残っているものの、精悍な顔つきをしており、一人でエサを取り始めた頃と思われる。
さて、そのうちにと思っていたコロナ禍は1年4ヶ月、4/25の第3次非常事態宣言は再々延長され(6/20まで)、万博公園は臨時休園が継続したままである。
今の季節、万博公園では留鳥・夏鳥のスズメ・ムクドリ・シジュウカラ・ヤマガラ・ツバメなど15種ほどの鳥が、懸命に子育て中と思われるが、休園中で見ることができないまま過ぎている。
このような中、日本野鳥の会大阪支部では、大阪府内外での開催している全探鳥会の中止を、本年9月末まで延長することにした。この理由は
①コロナ感染者の動向
②参加者や探鳥会リーダーのコロナワクチン接種の進捗状況
③暑い夏の陽ざしを浴び、マスク着用して再開は、熱中症対策に逆行
④鳥は冬と同じ羽毛を身に纏っており夏に弱く、あまり動かず、声も出さず観察しにくい
このため、日本野鳥の会万博公園定例探鳥会だけでなく、吹田野鳥の会探鳥会も、9月まで中止を継続する。探鳥会中止が1年半を超えるが、再開時には高齢者へのコロナワクチン効果がでていて、みんなが晴れ晴れと、鳥を見たいと思っている。
探鳥会が再開されるまでは、密にならないご自分のフィールドで、身近な鳥たちと、それを育んでいる身近な自然を、「一人ウォッチング」で楽しんでくださるように。
**** 写真 ****
種 名:カイツブリ幼鳥
撮影日:2020年6月23日
場 所:万博公園
撮 影:有賀憲介