2021年5月8日の定例探鳥会は中止です。

新型コロナ感染症拡大に伴う緊急事態宣言発出中につき、中止します。

千里の鳥・万博の鳥(102回)アカハラをお楽しみください。

今月の鳥は「アカハラ」、体長24㎝と同属のシロハラ・ツグミとほぼ同じ大きさのヒタキ科の鳥である。アカハラは胸から脇腹にかけての赤色に特徴があり、近縁のシロハラに対比し名付けられたと思われる。
 アカハラの繁殖地は本州中部の山地~東北・北海道の平地、そして千島列島・サハリンで、越冬地が本州西南部~琉球列島・台湾などのため、日本近郊でしか見られない鳥である。万博公園など大阪近郊でアカハラが観察されるのは、ほとんど越冬地⇄繁殖地間の渡りの季節で、中でも春の渡りの季節(4月)に、越冬地から繁殖地への移動途中が多い。
 この時期万博公園には冬鳥のシロハラやツグミも残っているので、ツグミ属が3種、あるいは2種で、林床のエサ場を争っていることがある。自分のエサ場が確保できれば、その周辺に数日間は滞在するらしく、次の日も観察できることがある。
 吹田野鳥の会では春の渡りの季節に、万博公園の渡り鳥調査を実施しているが、調査期間20日間ほどで、アカハラの多い年は100羽、少ない年でも20羽ほどを確認している。繁殖地に向かう途中の夏鳥にとって、万博公園が重要な栄養補給基地となっていることがわかる。
 また大阪近郊でさえずりを聞くことは少ないが、繁殖地でアカハラ雄のさえずりを聞くと、鳥の歌の魅力にとりつかれることになる。5月頃の戸隠・軽井沢など信州の夏鳥繁殖地で聞いたアカハラの歌声、朝霧の林から響いてくる「キョロンキョロンツリー」と明るく高らかで、今も耳の奥に残っている。
 その種アカハラには、亜種アカハラと亜種オオアカハラの2亜種あるが、最近、東京在住で吹田野鳥の会会員の高校生末永夢さんから、東京で越冬していた種アカハラは、亜種オオアカハラであったと報告されている★。

亜種オオアカハラは、夏季に千島列島などで繁殖し、冬季になると日本(中部以北)で越冬するので、繁殖地・越冬地とも亜種アカハラよりは北にある。両亜種は体の大きさではわからないが、顔周辺の色あいが亜種アカハラに比べ亜種オオアカハラの黒みの強くなっていることで識別できる。 大阪近郊でも亜種オオアカハラを越冬期に見るが、非常に稀である。東西で同じアカハラを見ていても「所変われば亜種変わる」となっているかもしれない。
 さて昨年3月からのコロナ禍は、1年たった4月に入っても終息はおろか第4波襲来となり、大阪府では連日1000人を越えるコロナ感染者が出ている。緊急事態宣言の発出されたこともあって、万博公園は4月25日から臨時休園となり、日本野鳥の会大阪支部万博公園定例探鳥会、及び吹田野鳥の会探鳥会は、5月度も中止を継続することとなる。
 探鳥会中止を続けている間に、アカハラだけでなく、エサ場を競っていたシロハラ・ツグミも繁殖地へ旅立ち、今は万博公園に残った留鳥たちが子育てに入っている。
 探鳥会が再開されるまでは、密にならないご自分のフィールド見つけ、身近な留鳥たち、エナガ・シジュウカラ、そしてカルガモ・カイツブリなどの子育てを、「一人バードウォッチング」で楽しんでくださるように。
**** 写真 ****
種 名:アカハラ
撮影日:2021年4月23日
場 所:万博公園
撮 影:有賀憲介
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(参考文献)
★末永゙夢 吹田野鳥の会会報シジュウカラ47号