服部緑地定例探鳥会 6月13日(土) 天候:晴れ 参加者:32名
出現種23種
渡りの季節がひとしきり過ぎ、鳥たちは「繁殖」のモード全開となります。6月の探鳥会は、小珍しい鳥を期待するのでなく、繁殖を軸とした、身近な鳥の生活が焦点です。
集合の場所からして、たくさんのメジロが次々に樹冠を移動していきました。繁殖期は動物食になるスズメも、餌になる小虫を求めてやってきた梢で、チュンチュンと騒がしく鳴いています。坂を下りきるとしかし一転、高川は今月も、もぬけの殻。たくさんの若齢コシアキトンボが川面を飛び交うばかりです。繁殖期のセキレイ類は、いったいどこに行ったのでしょう?いないものは仕方ないので、すみやかに信号を渡り、モミジバフウの木陰を伝って、新宮池へ向かいます。
新宮池のアオサギの巣には、親鳥と区別できない大きさまで育ったヒナが残っていて、はばたきの練習などしています。池畔を回り込むと、対岸の低木ではすでに巣立った幼鳥が、弟妹たちの巣立ちを、首を長~くして待っています。その手前では、カイツブリが大きめのエビを捕らえたようで、長いヒゲだか足を振り飛ばして、なんとか食べようと躍起です。



木立にはハシブトガラスの幼鳥が、親御さんの帰りを待ちつつ、ぼんやりと羽繕いを続けています。幼鳥ならではの赤い口の中と青い目をじっくり観察できました。うずわ池までの道中では、これまでスズメやシジュウカラの家族群を多く見かけた覚えがあるのですが、今日もがらんとして見るべき鳥、なし。いつになく咲き誇ったムラサキカタバミが、林床一面を覆いつくしているのに、ちょっと驚きました。うずわ池を過ぎるあたりで、ようやくエナガの家族群に遭遇です。幼鳥には、顔の太い黒帯に白い羽毛が混じり始め、馴染みの「黒い眉斑顔」に近づいているものも混じっています。



坂道を登り、子鹿橋の手前から入った尾根道では、ウグイスが囀っています。おお、これは昨今流行りの低標高繁殖か?と期待したのも束の間、人の群れが近づくと、さえずりは一気に遠くへ移動。なわばりを死守する意識ではないようです。「人影が多い公園だってOKよ!」ってぐらい、肝の据わった奥さんには出合えなかったのかも。
トイレ休憩の最中、咲き始めたノウゼンカズラの花に、メジロが集まっているのが目に入りました。原産地では鳥に花粉を運ばせる鳥媒花だそうですが、植物体には毒性の噂もあるようで、さて、この関係性は本当に円満なのでしょうか?気になるところです。
円形花壇から原っぱを抜けて菰ヶ池の木陰で一息したところで、そういえばここにはヤマガラの巣箱があったことを思い出しました。と、飛んできて、なぬ?担いでる三脚の足にとまった!のは、なんとヤマガラの巣立ち雛。もはやゼロ距離のうれしさの一方、警戒心がないことが良いのだかどうだか、ちょっと複雑。



水位が平常に戻った中池には、もうカモの姿はありません。かわりに、対岸のブロック塀で採餌するカワセミを発見。池から突き出た倒木の枝にたたずむカワウも遠目です。省略するつもりだった若竹池方面ですが、ちょっとだけ行ってみましょう。歩き始め、茂った葉の隙間から至近距離に見えたダイサギは、さすがに近すぎたので、チラ見にとどめて足早に通り抜けます。
若竹池からは見返りでの中池カワウはもちろん、お魚くわえて飛ぶカワセミも見られ、来た甲斐ありでした。そのカワセミが飛んで行った先には、杭に止まっている別のカワセミがいました。背の色が鮮やかに見えたので、その場では成鳥としていましたが、後で写真を拡大すると胸は黒っぽく、巣立った幼鳥であったようです。さらに、堤の直下には巣立ちたてホヤホヤ、頭に幼綿羽の残るゴイサギの幼鳥も見つかりました。ここからそんなに遠くない場所で繁殖した、ってことでしょうね。



さて、ここまでしかし、バンの姿を見ていないので、山ヶ池の白鳥橋では真っ先に探します。すぐには見つかりませんでしたが、「ケコッ」と一声、ハスの葉の合間で、ようやく1羽を発見。池の対岸へ向かって泳ぐ、そのだいぶ後ろのハスの茂みで、歩くスズメ大の小鳥は・・・ヒナです!あしゆびはすでにかなり長く、時々ズボりながらもハスの上を歩いて、一生懸命、離れてしまった親鳥の後を追います。これは、不覚にも「カ・ワ・イ・イ」・・・!ところが親鳥は、少しは待ってやればよいものを、自分だけ対岸のハス間に姿を消してしまいました。なんたるネグレクトっぷり。ならばいっそボウヤ、このままハス歩きを鍛えて、レンカクを目指す、てのはどうだい?



白鳥橋から戻って山ヶ池に沿って歩き、ハスの間に他の水鳥でもいないものか探しますが、見つかったのは、なわばりを張るウチワヤンマ。名が体を表す良い例(ただしヤンマではなくサナエトンボの仲間)ですが、うちわの使い道は謎のようです。 山ヶ池の最奥には、ようやくバンがもう1羽、羽繕いしつつ、たたずんでいましたが、周囲にヒナは見当たりません。そういえば先程のヒナも1羽だけでした。カラスやイタチなどの天敵に襲われたのでしょうか。野鳥の子育ては常に危険と隣り合わせでもあるのです。



さて、服部緑地の繁殖鳥と言えば忘れてはならないのが、近年定着したキビタキなのですが、ここに至るまで姿はもちろん、声も聞けていません。ラストの小鳥の森で現れてくれることに望みを託しましたが、残念ながら確認には至らず。今年もそろそろ、巣立ち雛独特の声が聞こえはじめる頃なのですが、はたして・・・野生の厳しさにも想いを巡らす、6月の探鳥会となりました。7月、8月は探鳥会がお休みなので、次回は9月の第2土曜日。よろしくお願いいたします。