2025年11月探鳥会報告

服部緑地定例探鳥会 11月8日(土) 天候:晴れ 参加者:32名

出現種37種

鳥合わせ

 1回休みをいただいて、2か月ぶりに来た服部緑地は、たくさんの屋台が並び、電光掲示板が立っていたりで、まるで別世界?浦島太郎の気分で駅前の集合場所に参りました。緑道は満開のキンモクセイ。華やかな香りに包まれ・・・いやこれも、去年こんなだっけ?花の時期も変わったのかも。なんだか異世界感の中で歩き始めるとすぐ、頭上の下枝にシジュウカラが飛来。メジロ、ヒヨドリも同じトウカエデの枝を丹念に探しています。小さな昆虫でもいるのでしょうか?高川はいい感じに水量が少なく、セキレイ類はいるにはいましたが、ちょっと遠め。その分、線の細いキセキレイと、がっしりしたハクセキレイ、シルエットの違いが印象に残りました。

 新宮池に突き当たってすぐ、まだ青々と葉が残る茂みの向こうに、ニョッと首を伸ばしていた近距離のアオサギ・・・を、しれっとスルーするところでした。まあ、アオサギだし、そのうち見れるしな、と思ったわけですが、どなたも気づかれないので、それもちょっと、と思いなおし、少し戻って観察しました。普通に歩いているだけだと、こんなすぐそばの大きな鳥でも、意外に気がつかないもの。これ、実はバードウォッチングにおける中心命題かもしれません。意識していないと、いることに気付けない隣人たちとの出会いを求めて、いざ。

 新宮池の水面にはやっとカモの姿が。真っ先に目についたキンクロハジロは、まだきれいに白黒ツートンカラーになった雄の姿はありません。これだけかな、と思っていたら、上空からハシビロガモが飛来。そのうち、ついさっきどこからかやって来たような、落ち着きのないマガモの一群も登場して、見てる間にたくさんのカモが水面に浮かんでいました。

 にぎやかになってホクホクしていたら、岸辺から現れたバン。むむ、ずいぶんと下尾筒あたりの白い羽根を両側に張り出しています。いつもならヒョコヒョコと首を振って泳ぐのに、斜め前の前傾姿勢に固定して直進です。進む先に、もう一羽、くちばしの色味が鈍いバンが、逃げ腰。どうやら若いバンを、成鳥が威嚇して追い回しているようです。沖へ追い出されては岸辺に戻ろうとする若鳥を、執拗に追い詰める威嚇姿勢の成鳥。いったいこの若鳥が、どんな悪さをしでかしたんだか?!

 さらに、ずっと池の周囲のやぶ陰で声だけ聞こえていたカワセミ、手前の水面を横切る1羽がやっと見えた、と思ったら、対岸の方からツイーっともう一羽、さらにもう1羽と、飛んで行った方向へ向かい、おまけに手前の岸寄りからも1羽。都合4羽ものカワセミが一堂に会するという、なんともゴージャスな状況になっているはずなのですが、たくさん残った葉むらの奥で、何が起こっているのか、さっぱりです。折り返し道ではジョウビタキの雌が、人目もはばからず至近距離の草刈り後で採餌を続けるおまけもついて、もう、新宮池だけでお腹いっぱいの気分です。

 別腹に切り替えて、やって来たうずわ池。相も変わらぬ抹茶色の水にはげんなりしますが、カイツブリは元気に採餌。このぐらいの濁りでも餌は獲れるのか、と感心していると、今度はこのカイツブリたちが追いかけっこを開始。今日はみんな、なぜか気が立つ日なのですかね。かと思うと、対岸に張り出したアラカシの茂みの下で、静かにお休み中のマガモが3羽。そして、その横で寝ているもう1羽の胸には、整然と並んだ、細かいうろこ模様。ヨシガモ?いや、どうやらオカヨシガモのようです。水の色はともかく、このアラカシの下の木陰は、カモたちが安心して羽を休められるセーフティースポットになっているようですね。

 屋台が敷き詰められた円形花壇をそそくさと通り過ぎ、スズメたちがたむろする梅林前でトイレ休憩をはさんで、ずんずん進みます。出店が多いのは、去年から大阪の公園で始まった巨大イベント「メリメロオーサカ」だそうです。通りはどこも人が多く、道端で見かける鳥はスズメやドバト、ハシボソガラス程度と、少ない印象です。普段はカメラマンでにぎわう菰ヶ池も、この日はカルガモが泳ぐのみ。ここで、遠くの空にタカがいる!との声。なかなか見つけるのに苦労する距離でしたが、どうやらミサゴのようです。服部緑地からはちょっと遠いかもしれませんが、見えたのでカウントってことで。

 さて、園内がこうだと、続く中池への期待が否応なく高まります。水は引き続き少なそうだけど、水際には・・・いるわいるわ、無数のカモたち!しかもどれもこれも、綺麗な冬羽にはほど遠い、渡来したての地味な色です。こりゃあかん、光線の状況が少しでも良い、若竹池側へまわろう、と思ったところで、逆光の中、うっすら光る緑色の頭を発見。ヨシガモの雄が混じっていました。それだけは近くから見ておいて、若竹池へ。

 回り込んだこちら側にはしかし、さすがにこの数の鳥をしっかり見たい派であろう、ウォッチャーさんがすでに観察中で、あまりお邪魔もできません。とりあえず至極ざっくりと数えて、コガモだけで約150羽。そこにヒドリガモ、オカヨシガモ、ヨシガモ、ハシビロガモ、等々、すべて地味色のカモたちが入り乱れ、岸辺に立って何かしらをちゃぷちゃぷと、ひたすら採餌祭りです。隣人さんも、こう一斉に押し寄せられると、全部はお相手しきれません~。

 ということで、詰め切れないままにとって返して、白鳥橋。こちらもこちらで、カモたちが渡来していました。新顔は、しゅっとした小顔スタイル、特徴の長い尾羽はまだなくても、スタイルに上品さがにじむオナガガモが登場。それと、こちらも新顔、一部ではホットなジャンルなのだけど、ちょっと扱いに困る「雑種」です。これは通称「マルガモ」。ちょうどわかりやすく、カルガモの頭とマガモ雄の胴体のキメラになったタイプだったので見当がつきましたが、種数としてのカウントをどうするのか、毎回悩むのです。今回、両親のマガモもカルガモも見ているので、ノーカウントとするのが妥当でしょうか。

 白鳥橋からは見つからない引っ込み思案のカモたちが、ハス間に隠れていないかどうか、探しながら山ヶ池を伝いますが、今年もまだハスの葉ブッシュ密度は高く、合間を動くカモの姿は見つかりませんでした。池を過ぎたところで、こずえにモズの雄が、静かに止まっているのが見つかりました。

 あとは、久しぶりに人口密度が高い園内を歩き抜ける感じで、終点の小鳥の森に突入しました。鳥合わせの結果は37種類。園内は騒がしかったけれど、なかなか濃密な半日でした。午後も粘った幅さんは、探鳥会では見られなかったゴイサギやトモエガモを確認しておられるので、次回にはきっと、お目にかかれることでしょう!