2025年12月探鳥会報告

服部緑地定例探鳥会 12月13日(土) 天候:晴れ 参加者:32名

出現種39種

鳥合わせ

 去年よりは早く紅葉が始まった気がした11月中旬、これなら次の探鳥会では葉陰が減って、冬鳥たちも見やすくなっているに違いない。そんな思惑で臨んだ12月の定例探鳥会。ところが・・・。紅葉たちは渾身の粘り腰で枝に残り続け、当日もあざやかに高川の水面をさえぎります。そのせいでもないでしょうが、程よい浅瀬になっているのに、セキレイ類の影も姿も、声もありません。まあそれならば、先を急ぐとしましょう。池にはすでに冬の水鳥が渡来している、という情報も入っているのです。
 緑地公園内に入ったら、まずは梢のアオバトチェック。昨シーズンはほぼ全敗だったこのルーチン、でも続けることがきっと大切。てことで今回も懲りずにやってみました、が・・・まだ落葉が進んでないので、これも仕方がありません。

 大きく育ったクスノキの梢では、ヒヨドリが恒例のお祭り騒動。「あー、うるさいヒヨどもメ!」で済ましてしまうことも多いのですが、ぜひ一度、梢で暴れまわる彼らの姿を双眼鏡で探してみてください。ヒヨドリばかりかと思っていると、意外にシロハラやイカルなんかが、しれっと紛れ込んでいたりするのです。
 ・・・なんて説明をしかけた矢先、低い位置を飛んで藪に入った鳥は、そこでピタリと動きを止めて、さっそくヒヨドリではない風情。枝の隙間から見え隠れするその姿は、おお、ツグミさんではありませんか。それも顔の模様が白黒ぱっきりとした、なかなかのイケメン個体。はるばるシベリアからの旅疲れが残っているのか、藪かげでじっとしてくれるので、スコープに納めてじっくり観察しました。手前の枝が上手に顔を隠して、ちょっとしただまし絵のようで、いるの?いないの?あ、こんなところに!と、小盛り上がりでした。

 ツグミの茂みの裏側が、すぐ新宮池の岸辺。大きく回り込んで、水面側から見通せるポイントにたどり着くと、うん、いますね。池の角から現れたのは一群の留鳥カルガモでしたが、オオバンにバン、久しぶりに登場のカワウ、それからコサギ、木の茂みに寝ているゴイサギ、その上にはアオサギ。
 んー、もう一声ほしいなぁ、と思ったところで、見ていた逆、池の中央南側に、今度こそいました!ミコアイサ。顔が茶/白のツートンカラーの雌タイプが主体?と思ったら、パンダ顔の雄も1羽。あ、潜った、出てきたら2羽?3羽?と、潜るたびに雌雄の数が違ってきます。一番たくさん水面に出たところで、ざっくり素早く数えると、総勢13羽。雄タイプも4羽ほどいました。
 ちょうど一斉にお食事タイムの最中らしく、落ち着きなく潜って、まともに数を数えていられません。全部数えるのはあきらめて、一斉に潜ったり出たり、さながらシンクロナイズトスイミングのような挙動を、純粋に楽しむのもよいものです。それを横目に、先月の主役だったキンクロハジロたち。隅っこの日陰に追いやられて?何気にわびしく採餌していました。実は後で知りましたが、葉陰に隠れていたトモエガモも、一瞬水面に出てきていたようです。見られず残念、来年こそは。

 まだまだ見足りない感を残しつつ、うずわ池へ向かいます。この日はマガモも、アラカシの木陰から少し出てきてくれて、色味がよくわかりました。斜面のショートカット道は、乾いたアベマキの落葉がうず高く積もり、滑りやすくてちょっと注意。
 この日はマラソン大会なのか、道がコーンで区分されて、大人数で歩くにはちょっと手狭です。脇を見ると、暖かい時期にはバーベキューの家族連れでにぎわう原っぱが、この日はがらんと空いていたので、道を避けて原っぱを縦断することにします。広場の端にあるアキニレの木は、冬が深まるとカワラヒワやアトリでにぎわいますが、まだ葉が落ちずに残っていました。原っぱを過ぎるかというところで、あ、聞こえましたか?耳をすませばアオジの地鳴き。姿がはっきり見えるわけではありませんが、毎年越冬しているこの場所で聞こえた、時にかすれる一声は、アオジのそれです。菰ヶ池では、去年アオバトが潜んでいたメタセコイアの梢で、何かハトサイズの鳥が動いたような・・・?が、出てきたのは残念、キジバトでした。

 さて今回も、後半の期待を一手に背負うのは中池。よい感じで低い水位が保たれていて、水際には採餌するカモたちが、ほど良い数で群れています。80羽そこそこのコガモを中心にオカヨシガモ、ハシビロガモ、1羽だけヨシガモ。ヒドリガモは完全に干上がった池底に生え始めた草を、さながら草食獣のように群れで食んでいきます。若竹池では、奥の道路沿いの入江にキンクロハジロのチラリズム。うーん、カモの数が減ったせいか、先月ほどのパンチ力はないかな。

 それでは、山ヶ池の白鳥橋へ。と、橋のすぐそばに現れたのは、なんとヨシガモ。餌付けにべったり依存のヒドリガモやオナガガモといった連中とは一線を画して、枯れハスの隙間から決して出ない、玄人風味だった彼らが、肉眼でもそれとわかる距離に、平然とやってきます。この距離感で、この光沢とテクスチャが味わえるとは、いったい何のご褒美なんでしょ!こうなるとしかし、これまで「近くまで会いに来てくれるカモ」のコンセプトで人気だったヒドリガモが、お株を奪われてしまいます。また、いつもヨシガモと遠巻き仲間で行動を共にしていたオカヨシガモは、この裏切りに憮然とした表情を浮かべている気がしないでもない?ああなんか、おかしな妄想が止まらない。今後、カモたちの勢力図は、どうなっていくのでしょう。

 というわけで、山ヶ池の上手のハス間の方では、取り残されたオカヨシガモと、警戒心高めのマガモがコンビでした。雌の色味がよく似たマガモとオカヨシガモ、案外相性はよいかもしれません。 こんな感じで、水鳥ホクホクとなった12月でしたが、ふと気がつくとシロハラは?ルリビタキは?陸鳥の常連たちが、どうも寂しげです。鐘が鳴る丘や小鳥の森で探しては見るものの、むむ、今回はルリビタキ1種追加のみ。鳥合わせ後に小鳥の森で粘った方は、シロハラやアオバトにも出会えたようですが、探鳥会の成果としては、39種類におさまりました。冬の陸鳥は、来年に期待です。