2025年2月探鳥会報告

服部緑地定例探鳥会 2月8日(土) 天候:晴 参加者:29名

出現種44種

 寒気のピーク!低温注意報!これを受けて、同日程だった「はじめての鳥見隊」は、中止!定例はどうしよう・・・と決めきれないまま夜も更け・・・、なしくずし的に決行の朝。むしろ、前情報でこれだけ寒い寒いと言われると、かえって心構えが整ったんだか、「そりゃまあ、寒いよね」ぐらいの開き直りで迎えました。寒いなら寒いなりに、何かあるでしょう!
 駅から公園までの緑道は、葉もすっかりと落ち切り、完璧な冬景色。先月ここに降りて来たのはハクセキレイだけでしたが、おお、ジョウビタキも路面に。ハクセキレイも2羽に増え、さらに古株のスズメまで加わって、緑道の路面に3種の小鳥がそろい踏みになりました。おや、頭上の枝にはメジロ。街路樹の根際にシジュウカラとヤマガラの異種セット。ちょっと先の地面を跳ねているのはシロハラ、その手前の低い枝から地面に降り立ったのはヒヨドリ。みんな餌探しに必死の様子で、30名超の目線に動じる様子もありません。高川でコンプリートできたセキレイ3種も合わせると、駅から公園に着くまでに、早くも10種類もの鳥を、近距離で観察できました。

 ようやく公園に入って、「こずえアオバト」のチェックをしますが、姿なし。新宮池の一角の葉陰では、なぜかムクドリの密な声。街の方から次々に飛来しては、しばらくして戻っていく、を繰り返しているようです。餌の木の実でもあるのかと思ったら、見えた個体は水を飲んでいたり、なかなかの謎ムーブは、寒さゆえ?林縁を覆うノイバラには赤い実が多く残っていて、メジロがついばみに来ていますが、ここにはムクドリは現れません。

 岸辺の低木にはアオサギが妙に多く、繁殖を控えて集合しつつあるのかも。小さい春の兆しかな。ただ、水面のカモたちになんとなく動きが少ないのは、やはり寒さなのでしょうか。先月と同様、トモエガモは枝かげでじっとしています。このときは雄1雌2羽でしたが、午後も粘った幅さんによると、雄2羽、雌3羽もいたそうです。そう、新宮池の元気者といえばミコアイサだったのですが、この日は全くおらず、それも静寂の一因かもしれません。

 お次のうづわ池。カイツブリが目の前で、水に潜ることもなく、並んでじっとしてくれたので、夏羽と冬羽の違いがよく観察できました。あれ?なんで夏冬、どっちもいるの?カモたちはいるにはいますが、カシの葉陰で眠るマガモたちと、居眠りしがちなホシハジロ、という感じでパッとしません。と、対岸にイカルがいる、との声。見ると池べりの地上で、もっそりと採餌する1羽、じきに2羽になりました。遠いせいもありますが、一声も聞こえません。今年のイカルは、やっぱり静かです。背後の笹やぶで鳴くアオジの声に振り向くと、飛び出してきたアオジが路肩の石垣の上で餌を探し始めました。藪に潜りがちな鳥が丸見えで、しかもちょうど目の高さ。かと思うと、目の前の水際の木に飛んできて止まったのは、カワセミ!人だかりなんてそっちのけで、無心に魚を探しているので、ずっと見えてる背中の水色がもう、痛いほどの輝き。今日はほんと、鳥との距離が近いです。

 工事中で狭くなった円形花壇の外周路、そそくさと抜けますが、オブジェの上から餌を探すモズに足を止めたり。林床を歩くハシボソガラスを間近に眺めつつ原っぱに出てると、アキニレの実が地面に散乱しています。アトリが多い年ならあっという間に食べつくされてしまうのに、今年はとうとう散り始めたのかぁ、とふり仰ぐと・・・。いや、何かいる! 

 カワラヒワが、それも30羽ほど、ムシャムシャとアキニレの実をついばんでいました。まるで枯れ葉のように密に樹冠を形成していた実の、上半分はかなりまばらになっていて、無心に採餌する姿がのぞきます。食べている時の彼らは、ほんとうに静かです。
 いつもヤマガラが近い菰ヶ池では、寝るでもなく、潜るでもなく、水面の一点でじっとしているホシハジロを、やはり近くから、じっくりスコープ観察できました。対岸のミモザにとまるゴイサギ、それに水面のオオバン、気づくと「目が赤い」くくりの3種が奇遇。

 中池はここしばらく静かなので、足早に若竹池との境界まで回り込みますと、おお、ここにミコアイサ!若竹池の少し遠方ですが、10羽超の小群です。しかし雌雄比は雌が圧倒的に多い様子。先月までの新宮池のミコアイサ群は雄が多かったので、違う集団なのでしょう。岸辺では、珍しく陸に上がった姿も見ることができました。
 見返した中池では、ハシビロガモが採餌などしています。ちょうど光線の具合がよく、金緑色の頭部が強い日差しを受けて、宝石のごとく輝きます。と、目の前に気配。中池側には十字に穴を打ち抜いた鉄板の柵があるのですが、そのすぐ向こうのノイバラに来たメジロが、顔のすぐ前にいました!鉄板越しとはいえ、息がかかるような距離です。思わぬ急接近にドキドキ、これは恋?と浮かれたのも、つかの間。若竹池の岸辺に浮かんでいたのは、落鳥したヒヨドリでした・・・。外傷もなく、標本にしたいぐらい綺麗な状態だったのは、やはり飢えか寒さによるものでしょうか。野鳥にとって、もっとも過酷な厳冬期。人間との距離なんて気にしていたら生きていけない。そんなギリギリの状態の鳥たちを見て一喜一憂する、我々の業の深さを思い知ったばかりです。

 さて、山ヶ池は今回どういうわけか、白鳥橋より南側がカルガモの天下。その数約30羽が、池のあちこちを泳いでいます。これはこれで小珍しいけど、どうしてこんな色気のないことになっているのか、説明が思いつきません。悪さする理由を「太陽のせい」とかいう逆で、「北風のせい」てことにでもしときましょうか。餌付け桟橋のヒドリガモ、オナガガモ、ハス間のヨシガモ、オカヨシガモなどは先月同様。なにしろ、たくさんの鳥との超接近が続いて、ずいぶん時間が押してしまいました。
 勢いのまま鐘が鳴る丘を通り抜けて、はたと、ついて来ないことに気付いた後半部では、ルリビタキが間近で観察できていた模様。あー、残念だけど見に戻る時間はかけられない・・・ということで、鳥合わせは44種類。アオバトやツグミなど、今回は見られなかった常連さんもいた割に、なかなかの種類数でした。なにより、鳥との距離が近く、その背後にある生存の厳しさも垣間見た、印象深い厳寒の服部定例でした。