2023年5月29日 2025年日本国際博覧会協会の「持続可能な大阪・関西万博開催にむけた行動計画(第1版)」に対する意見書を提出

2023年5月29日 2025年日本国際博覧会協会の「持続可能な大阪・関西万博開催にむけた行動計画(第1版)」に対する意見書を提出 日本野鳥の会大阪支部

沿岸域の生態系回復の具体的な計画やビジョンの策定に関与すべき

万博会場となる夢洲は、埋め立て途上の広大な湿地や裸地環境等を有し、大阪府の生物多様性ホットスポットAランクとして指定され、大阪湾岸最大の水鳥飛来地=沿岸域における生態系ネットワークの重要な拠点として機能してきた。しかしながら、会場整備に先行する地盤改良工事等の影響で環境が大きく改変され、シギ・チドリ類やツクシガモなどの希少な水鳥が飛来・生息できる湿地環境がほぼ失われているのが現状である。 行動計画では【目指すべき方向】として「沿岸域における生態系ネットワークの重要な拠点として、会場内の自然環境・生態系の保全回復に取り組む。」(P21)とされているが、今の夢洲の現状から万博会場内での保全回復は極めて限定的なものとならざるを得ない。国際的合意である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の実現に寄与というのであれば、万博期間中の会場内のみでの対応ではなく、万博終了後の大阪湾の沿岸域における生態系ネットワークを回復創造させるための具体的な計画につながるビジョンを示すことが求められる。そのためには博覧会協会が主導して大阪市や大阪府などの自治体と連携して協議会を設置することが必要と考える。

生態系の保全回復の実現のために、水鳥を指標項目に設定すべき

「生物多様性については、指標化が困難ではあるが、・・・指標化が可能な項目があるか検討する。」(P36)と記載されているが、生態系の保全回復の効果的な実現のためには、指標設定が不可欠であり、水鳥を指標項目として、その飛来状況を評価すべき。

関連して、保全措置の履行状況の確認として、「開催期間中の 4 月から 7 月に各月1回、会場予定地及びその周辺において、鳥類の飛来状況を確認する。」(P23)とあるが、月に1回の調査では鳥類の飛来状況の把握には不十分であり、最低でも週1回程度の調査は必要。又、会場予定地及びその周辺と記載があるが、環境影響評価準備書にシギやチドリ、カモ類の評価について、「近隣の野鳥園において確認されていることから、工事中に野鳥園を利用することが可能」と記載があったように南港野鳥園が夢洲の代替となるという安易な評価予測がなされているが、この評価予測を検証する為にも夢洲と南港野鳥園双方での精度の高い調査が求められる。

※「持続可能な大阪・関西万博開催にむけた行動計画(第1版)」は、以下(博覧会協会ホームページ)から閲覧可能。
https://www.expo2025.or.jp/news/news-20230428-01/