2022年3月16日:夢洲の野鳥生息環境の保全についての要望書を大阪市に提出

2022年3月16日、(公財)日本野鳥の会と日本野鳥の会大阪支部は「夢洲の野鳥生息環境の保全についての要望書」を大阪市に提出しました。

2月9日付の大阪市の公報で、松井市長から準備書に対する意見として、「専門家等の意見を聴取しながら、工事着手までにこれら鳥類の生息・生育環境に配慮した整備内容やスケジュール等のロードマップを作成し、湿地や草地,砂れき地等の多様な環境を保全・創出する」との意向が示されました。

ところが、工事現場の方ではその後も夢洲で当初から計画された地盤形成の手順で工事が進められており、松井市長の意向は反映されていません。現在シギ・チドリ達やカモ類が来てくれている湿地に7月からセメントを流し込んで、来年2月末までに万博会場のウオーターワールドに当たる部分に大きなプールを造る計画であることが判明しました。

そこで、3月16日に、(公財)日本野鳥の会と大阪支部は連名で、大阪市に対して要望書を提出し、3月22日にはプレスリリースも行いました。

また東京でも日本自然保護協会、WWFジャパン、日本野鳥の会本部の3団体が3月16日に要望書の提出とプレスリリースを行っています。

プレスリリースは、保全協会の夏原会長、大阪支部は松岡支部長と荒木さんの3人が対応しました。
来てくれたのは、朝日新聞社、毎日新聞社、産経新聞社、共同通信、NHK,、朝日放送テレビ、読売テレビの8社でした。

要望書の内容 プレスリリースに使用した書面

以下、提出した要望書の本文

2022年3月16日


大阪市長 松井一郎 様


公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 遠藤孝一
日本野鳥の会大阪支部 支部長 松岡三紀夫


夢洲の野鳥生息環境の保全について(要望)


日頃から、大阪の環境行政にご尽力いただき、ありがとうございます。 大阪市は、本年2月9日、「2025年日本国際博覧会環境影響評価準備書に関する市長意見」(以下「市長意見」という。)を提出されました。
市長意見には、「専門家等の意見を聴取しながら、工事着手までにこれら鳥類の生息・生育環境に配慮した整備内容やスケジュール等のロードマップを作成し、湿地や草地、砂れき地等の多様な環境を保全・創出する」とあります。 しかし、現在、夢洲では大阪港湾局による整備工事が進められ、その範囲は水鳥の生息する湿地環境にも及んでいます。このままでは、市長意見にある事業者による「ロードマップ」の作成を待たずして、シギやチドリ類、ツクシガモなど多くの水鳥の餌場である湿地環境が失われてしまいます。
このような状況から、我々は夢洲の野鳥生息環境の保全について、以下を強く要望します。


1 市長意見の趣旨から、事業者に先行して行う整備工事についても、事業者に求めるロードマップと 同様の手続きを行うこと。
2 上記の保全・創出計画が示されるまでは、水鳥の生息する湿地に影響を及ぼす工事を実施しないこと。
3 大阪・関西万博の会場整備計画にある「ウォーターワールド」は、人工的な構造物による水辺整備ではなく、湿地や草地など水鳥の生息環境を可能な限り残したものに変更すること。


大阪関西万博の開催目的は、「持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献」とされ、テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。夢洲は人工的に造成された環境ですが、絶滅危惧種を含む多くの野生生物の生息地となっており、万博開催によってこれらの自然環境を消失させることは、万博の理念とも相反しています。人工的な水辺と水鳥がたくさん集う命あふれる水辺のどちらに来場者は心打たれるでしょうか。湿地や草地など水鳥の生息環境を生かしてこそ、大阪関西万博が世界に誇れるものとなると考えます。


以上 参考資料 2025年日本国際博覧会環境影響評価準備書に対する環境の保全の見地からの意見書
(2021年11月13日 日本野鳥の会・日本野鳥の会大阪支部より日本国際博覧会及び大阪市に提出)


本件問い合わせ先
(公財)日本野鳥の会自然保護室 大畑 孝二
   電話 03-5436-2633 eメールoohataアットwbsj.org
日本野鳥の会大阪支部 支部長 松岡三紀夫
   電話 090-2389-2743 eメールmainアットwbsjosaka.xsrv.jp