2022年6月9日大阪市長に緊急要望書提出/セイタカシギの繁殖を確認

夢洲で営巣中のセイタカシギの保護について(緊急要望) 

6月5日の夢洲調査においてセイタカシギ1つがいの営巣を確認しました。営巣場所が工事エリアに隣接していて繁殖への影響が懸念されることから、大阪市長あてに保全協会と連名で緊急要望書を6月9日、提出しました。あわせて報道提供も行いました。

要望書の内容

2022年6月9日

大阪市長 松井一郎 様

公益社団法人大阪自然環境保全協会 会長 夏原由博
日本野鳥の会大阪支部 支部長 納家 仁

夢洲で営巣中のセイタカシギの保護について(緊急要望)

日頃から、大阪の環境行政にご尽力いただき、ありがとうございます。

私どもは、大阪港湾局の許可を得て、夢洲での鳥類調査を継続していますが、本年6月5日、夢洲(2区)の湿地で絶滅危惧Ⅱ類(環境省レッドリスト2012年)に選定されているセイタカシギ1つがいの営巣を確認しました。
本種は、国内では、東京湾沿岸部や伊勢湾沿岸部のごく限られた場所が繁殖地として知られています。
大阪府においては、2006年に堺市の埋立地(堺第7-3区)で繁殖した記録がありますが、定着はせずに、現在は春と秋にため池や河口、埋立地等に少数が飛来する程度の貴重な水鳥です。
夢洲の湿地では、2021年に複数つがいが初めて繁殖し、本年も日本野鳥の会の調査により、抱卵中の1つがいが確認できました(別紙参照)。
ついては、当営巣地の隣接地で行なわれている大阪港湾局による整備工事がセイタカシギの繁殖を阻害する恐れがあることから、保護について格段のご配慮をいただきたく、以下のとおり緊急要望するものです。

■ セイタカシギの繁殖期間中(抱卵期間6月下旬まで、育雛期間7月下旬まで)の配慮事項
1セイタカシギの営巣が確認された湿地周辺の工事の一時中止
2同湿地周辺への工事関係者の立入り禁止措置の徹底
3繁殖状況のモニタリング調査の実施と調査結果の情報共有

※現地にて営巣地点をお示ししたうえで、具体の保護策について協議させていただきたく存じます。

以上

(参考)

1営巣確認までの経緯

・2022年5月22日セイタカシギ1つがい(2羽)を確認
繁殖行動(地面への胸を押し付ける行動、地上の小さな枝や石をくちばしでくわえては捨てる行動など)を観察
・同5月29日セイタカシギ9羽を確認。うち3つがいが繁殖行動(1つがいは交尾も)
・同6月5日前回多くいたセイタカシギは数を減らし1つがいのみ。湿地のヨシ原近くの地上の巣で抱卵中の個体を確認。観察中、雌雄の抱卵交代あり。

2その他の水鳥の繁殖状況

夢洲では、同じく絶滅危惧Ⅱ類のシロチドリの繁殖行動も確認しています。本種は、埋立地内の裸地に簡単なくぼみをつくり直接卵を産むことから、巣の位置の特定は困難であり、セイタカシギのような繁殖への配慮事項の提示は困難です。また、2021年には同地で営巣していた絶滅危惧Ⅱ類のコアジサシは、本年は埋立地内の水たまりに水浴びなどのために100羽前後の個体が飛来していますが、現在のところ当地での営巣は確認されていません。