落ちている鳥を見つけたら
落ちている鳥を見つけたら
基本姿勢
上記をクリックすると今年のポスターを見ることができます。
車や外敵が来ない安全な場所でしばらく様子を見てください。 生き物は自然に回復する力を持っていますし、野生の生き物は人が捕まえることでショックを起こして死んでしまうこともありますので、必ずしも保護することが野鳥にとって良いこととは言えません。「拾わない」「触らない」でそっと見守るのが基本的な行動姿勢です。
野生鳥獣はペットではありません。人間の思い込みや身勝手な考えでむやみに手を出すことはせず、なるべくそっと見守りましょう。それが自然との正しい接し方です。
自然界のルール
上記の画像をクリックすると公益財団法人日本野鳥の会のPRページを見ることができます。
生態系には適者生存と言うルールがあります。食べる側(捕食者)と食べられる側(被捕食者)のふたつに大きく分けることが可能ですが、そこにはいくつもの階層があり、また捕食者が別の場面では被捕食者となるような、かなり複雑な関係になっています。
一般に生態系の上位に行くほど個体数は少なく、逆に下位に行くほど個体数は多くなります。上位の捕食者によって食べられる被捕食者である下位の生き物は子孫を多く生んで育てることにより捕食による個体数の減少を補い、種として存続してきました。
また、捕食者と言っても、健康な状態の生き物を捕らえることは難しく、何らかの原因によって傷ついた個体や病気になって弱った個体を選択的に捕食しています。捕食者は食べることによって生態系の下位の生き物が一方的に増えすぎないように個体数を調整すると同時に弱った個体を集団から取り除き、捕食される側の生き物を健全な個体群として維持する役割も果たしています。
さらに捕食者であっても、ケガをしたり病気になって死ねば昆虫や微生物によって分解されて土に戻り、土壌生物や植物の栄養となって自然界の大きな流れの中を循環しています。自然界はこのようなバランスと流れを保つことによって成立しています。
自然な状態で傷ついた鳥などの生き物を人が助けることは、捕食者の餌を取り上げることになると同時に健全な個体群の維持と言う自然界の大きな流れに逆らうことにもなります。
ヒナを拾わないでください
一般に野鳥のヒナは人が考えている以上に飛べない状態で巣立ちます。枝から枝への短い距離を飛ぶと言うよりはジャンプで移動しながら親から餌をもらい、食べられる餌の種類や捕食者からの逃れ方などを学んで独り立ちして行きます。このような状態のヒナがたまたま地上に降りているところを人に見つかり,誤って保護される例が多く発生しています。
ヒナがひとりでいるように見えても親は必ず近くで見守っています。このようなヒナを見つけても決して手を出さず、できるだけ早くその場を離れるようにしましょう。
公益財団法人日本鳥類保護連盟や公益財団法人日本野鳥の会では「ヒナを拾わないで!!」キャンペーンを行っています。
万が一、傷ついた野鳥を見つけたら
どうすればよいのか
上記の画像をクリックすると大阪府の制度を見ることができます。
日本野鳥の会大阪支部では対応できません
交通事故や窓ガラス・送電線への衝突など人為的な要因で傷ついた鳥や哺乳類
不幸にして交通事故や人工構造物などに衝突するなど人が傷つけてしまった野生鳥獣については保護する必要があります。しかし、これを実現するには傷病鳥獣の救護設備や人材の確保が必要となります。このような場合は設備や人材の確保された行政機関に連絡し支持を受けてください。
日本野鳥の会大阪支部には必要な設備や人材はありません。ご連絡いただいても何もできません。
大阪府内で発生した場合は左記の画像をクリックし担当の行政機関に連絡し、指示を仰いでください。
大阪府の制度
上記の画像をクリックすると大阪府の制度を見ることができます。
野生鳥獣救護ドクター制度
交通事故や窓ガラス・送電線への衝突など人為的な要因で傷ついた鳥や哺乳類がいます。これらのうち、適切な治療とリハビリを施すことで野生復帰が可能と判断されるものは保護の対象となっています。
大阪府には「野生鳥獣救護ドクター制度」と言う、野生の生き物を無償で治療している獣医師を紹介する制度があります。対象は交通事故や窓ガラス・送電線への衝突など人為的な要因で傷ついた野生鳥獣で、ドバト(カワラバト)やカラス(ハシボソガラス、ハシブトガラス)など農林水産業被害や生活環境被害などの原因となっているものや野鳥のヒナは対象外です。
行政の担当者が保護に出向いたり、保護された個体を引取に行くことはありません。保護した個体は個人が紹介された病院まで運ぶ必要があります。詳しくは左の画像をクリックしてください。
日本野鳥の会大阪支部の連携団体
上記の画像をクリックするとバードレスキュー協会のホームページを見ることができます。
特定非営利活動法人日本バードレスキュー協会
日本野鳥の会大阪支部の連携団体に「特定非営利活動法人日本バードレスキュー協会」があります。協会では交通事故や窓ガラス・送電線への衝突など人為的な理由によって傷ついた野鳥のなかで、治療を必要としない軽傷のものや獣医師による治療後の野鳥を放野可能となるまでの期間、保護飼養する活動をボランティアで行っています。協会は大阪府の「傷病野生鳥獣保護飼養ボランティア制度」に登録されています。
小さな団体ですので、協会の担当者が出向いて鳥を保護したり、保護された鳥を現地まで引取りに行く活動はできていません。あくまでも保護された方が協会の事務所まで野鳥を運ばれることが原則となります。
傷病鳥でも野生の鳥を市民が捕獲(保護)したり移動したりすることは厳密に言えば鳥獣保護管理法違反になります。必ず事前に行政の窓口に相談してから保護移動されるようお願いします。
それでも保護した場合の措置
★野鳥は捕まえたり飼育することは法律で禁止されています。違法捕獲と誤解されないためにも、必ず前述の野生鳥獣担当機関に連絡し、指示を仰いでください。
保護した場合の注意点
1.紙箱に入れる。
羽をたたんでかがみこんだときの大きさの箱を使います。箱には小さい通気用の穴を開けます。鳥かごや大きい箱だと、暴れて羽を痛めたり体力を消耗してしまうことがあります。外が見えると出ようとして暴れるので、穴は小さいものを少しだけ、目より低い位置に開けてください。
2.25~30℃に保温する。
使い捨てカイロやペットボトルにお湯を入れた湯たんぽが利用しやすいです。ただし直接鳥に当たらないように注意してください。また使い捨てカイロは酸素を使って発熱するため、箱の中に入れておくと酸欠になってしまいます。必ず箱の外に置いてください。
3.暗くして安静にさせる。
4.水や餌は与えない。
体が汚れたり冷えたりすると弱ってしまいます。また、無理に水や餌を与えることは逆に鳥にストレスを与えることになります。
その他の注意点
軽い脳しんとうや一時的なショックの場合、暖めてじっとさせるだけでも数時間で回復することも多いので、何度も箱をのぞいたり周囲で騒いだりしないようにしてください。
野鳥と人との共通の感染症を予防するためにも、野鳥を触るときは手袋を着用することが好ましいです。また、触った後はせっけんで手を洗ってください。