むくどり通信277号

むくどり通信277号(2023年3月)

発行日:2023年3月6日

特集 カワウのくらし

特集記事

カワウは1963 年までは堺市仁徳陵で100 ~ 200 羽がコロニーをつくって繁殖していて、付近の池や海岸で普通に見られたといいます。1960 年以降の高度経済成長期には公害などで水質悪化が進み、餌となる魚が激減したことなどから、全国でも3 千羽以下といわれるまでに激減しました。大阪でも1987 年当時、カワウは冬鳥として限られた場所で少数が見られる程度の鳥でした。
狩猟鳥から除外されるなど保護策が講じられたこと、水質が改善し餌となる魚が増加したことなどから、徐々に姿が見られるようになり、大阪では1990 年代には各地で大きな群れが見られるようになって、2000 年には岸和田市で小群の繁殖が確認されるまでになりました。
2000 年代半ばになると平地の水域の至るところで見られるようになり。府内各地で繁殖コロニーやねぐらが形成されるまでになり、今や平地だけでなく、山地の小河川にも姿を見せるなど、魚のいる水辺があれば、いつでもどこでも見られる水鳥となりました。全国で漁業被害や営巣地の樹木の枯死などの被害が深刻な状況となり、2007 年には再び狩猟対象となりました。
今やあまりにも増えすぎて、探鳥会でもほとんど注目されることがなくなったカワウですが、今特集ではそのくらしぶりや人間との共存を図るためにどういった取り組みがすすめられているのかなどを紹介します。
エメラルドグリーンの美しい瞳をもったカワウ、
カワウがどんな鳥なのか、その存在を改めて考える機会となればと思います。

contents

2 特集 カワウのくらし
6 さまよえるカワウコロニー/ カワウの羽根は極彩色!
8 仁徳陵のカワウについて調べてみたら・・・
9 身近な鳥から鳥類学 第66 回 カワウの減少と復活
10 榎本佳樹生誕150 年記念事業2023
11 小山慎司の日本列島鳥見旅 第16 回
12 鳥ガールのぐぜり 第25 回
13 かもめコーヒー・今日のお客さま 第7 回
14 探鳥会報告
16 研究ダイアリー 2023 年ガンカモ類調査の結果報告
17 そんぐぽすと / お年玉クイズ答え
18 鳥信 ミコアイサの雌雄識別、久米田池のユリカモメのねぐら入り、アビ、ケアシノスリなど
22 幹事会報告 / 第5 回オンライン野鳥フォーラム報告
23 次号予告 / 編集後記
24 第6 回オンライン野鳥フォーラム/ 第23 回鳥類学講座
別冊 探鳥会のご案内