支部長就任のご挨拶

支部長就任にあたって

日本野鳥の会大阪支部支部長 納家 仁(なや ひとし)

 本年5月29日の定時総会後に開催された幹事会において、松岡支部長をはじめ幹事の皆さんの推挙により、第8代の大阪支部長に選任されましたので、ご挨拶申し上げます。

 松岡さんには、5年にわたり支部長としてご尽力いただきました。特に任期を延長されてのこの2年はコロナ禍という難しい状況の中、総務グループや企画グループの仕事も兼務されたうえに夢洲問題などの新たな課題にも着手されるなど支部運営にたいへん多くの時間を割いていただきました。本当にありがとうございました。なお、松岡さんには支部長を退任後も幹事の一員として、探鳥会やイベント等を引き続きご担当いただけることとなりました。86歳になられても支部運営を気にかけていただき元気に活動される姿には本当に頭の下がる思いです。

 大阪支部の活動はボランティアの皆さんに支えられて成り立っています。鳥や自然が好きなこと、そして同じ思いをもつ仲間を増やしたいという気持ちがその原動力となっていると思います。幹事や探鳥会リーダーの高齢化が顕著で、若い皆さんにいかに参加いただき、幹事やリーダーとして活躍いただけるかが、喫緊の課題です。幹事やリーダーがやりがいを持って楽しく活躍できる状況をつくれば、自然と新しい仲間も集まってもらえるのではないかと思います。

 私が支部幹事となったのは1983年のこと、当時大阪湾岸最大の水鳥飛来地であった泉大津泉北6区(助松埠頭)埋立地に足繁く観察にでかけ、シギやチドリなどの水鳥を守るために野鳥園をつくろうと活動を始めたことがきっかけです。

 あれから40年・・・振り返れば、泉大津の野鳥の保護活動(私が事務局を務めた「泉大津に野鳥園をつくろう会」と大阪支部が共同で署名活動等に取り組み、2006年に人工干潟整備)、南大阪湾岸環境監視調査(1989~1997年)、大阪の鳥類生息調査をまとめた「大阪の野鳥VOL5」の発行(1990年)、「都市鳥調査報告書」の発行(1992年)、オオタカ生息調査(2000、2001年)や堺第7-3区でのチュウヒ調査(2006年~)等、主に保護や調査等の活動を担当してきました。又、鳥類目録編集委員として過去3回の目録(1987、2002、2016年)の編集、発行にも携わってきました。2009年からは機関誌の編集に加わり、これまで13年にわたり主担当としてむくどり通信を発行してきました。

 探鳥会とともに、むくどり通信は支部と会員をつなぐ大きな柱です。コロナ禍で探鳥会の開催がままならない状況の中、むくどり通信の役割は以前にもまして重要であると感じています。今回、支部長をお受けするにあたり、むくどり通信の編集をどなたかにお願いするということがかなわず、支部長職とむくどり通信の編集を兼任することとなりました。

 図らずも昨年から夢洲問題にかかわり、かつて泉大津で見た光景を思い出させるコクガンや大好きなシギやチドリとの出会いがありました。数を大きく減らし危機的な状況にあるシギやチドリのために夢洲をはじめ大阪湾岸全体の水鳥渡来環境の保全や回復に支部長として、力を尽くしたいとの思いが大きくなっています。

 本年、大阪支部は創設85年を迎えます。また来年は大阪支部創設当時に野鳥指導員として会の発展に寄与された榎本佳樹さん(大阪支部発行の「野鳥便覧」の著者で、野鳥の生態研究と愛護運動に尽力)の生誕150年にあたります。

 大阪支部は、多くの先人の努力によって、今日まで続いてきました。歴史のある大阪支部発展のため、また大阪の野鳥を守るために、微力ながら精一杯務めたいと考えています。会員の皆様のお力添えをいただきたく、どうかよろしくお願いいたします。

(2022年6月)