夢洲のコアジサシの子育てを守ろう
コアジサシの繁殖環境の保全
1、夢洲でのコアジサシの繁殖状況の経緯
(大阪自然環境保全協会ホームページより引用)
夢洲は、大阪湾にある人工埋め立て地です。いまはまだ、一部がコンテナターミナルや太陽光発電所などに使われているだけですが、これから何年分かの大阪市のゴミ焼却灰や浚渫土・産業廃棄物を持ち込む予定になっています。
先にゴミを埋め立てていた場所には、雨水がたまり、池となって、多くの野鳥が飛来する豊かな生態系が形成されつつあります。
また、大阪湾にはほかで見られない塩性湿地が自然にできていて、絶滅を危惧される植物も自然に繁殖していました。 そして砂利場や草原には、コアジサシやコチドリ、ヒバリなどが繁殖していました。
そこが2025年大阪・関西万博の予定地となり、それに先駆けまたは前後して、大阪市はIRカジノを誘致し開業しようとしています。 そして、2019年4月、環境を調べようともせずに、購入土砂を投入し始めました。
昨年の風景と比較すると、自然にできた池は半分の面積になってしまいました。それでも、渡り鳥たちはやってきて、満員電車のような密度で羽を休めています。
日本野鳥の会大阪支部は、この環境で絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)(国際希少野生動物種)に指定されたコアジサシの子育てを見守る活動を始めました。
コアジサシについて
◆コアジサシとは◆
4月下旬に南のオーストラリアなどから日本に繁殖のために渡ってくる夏鳥です。
5~7月頃には海岸・河原・埋立地などの砂地や裸地などの地上に集団で繁殖します。
本来の繁殖環境である河川敷や中洲の砂礫地、海岸の砂浜などの減少が著しいことから、開発途中の造成地など代替環境で繁殖する場面が多くなっていますが、そうした環境は非常に不安定です。
大阪でもコアジサシの繁殖コロニーのほとんどが、大阪湾岸の埋立地で確認されています。
繁殖地への人や工事車両などの出入りの影響や、カラスや猫などの天敵に襲われるなどして、繁殖の成功率は10%未満と言われるほど低い状況です。
そのため、環境省のレッドリストでは、絶滅の恐れがある絶滅危惧Ⅱ類(VU)に、大阪府ではさらに絶滅の危険性が高い絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)に指定されています。また国際希少野生動物種にも指定されています。
◆特徴◆
全長約25cm、全身白色で、細身の鳥。飛翔姿は翼が非常に長く、尾はツバメのように二又に別れる。
嘴は黄色で先端が黒い。脚は濃いオレンジ色。海や池に飛び込み小魚を捕まえる。キリッ、キリッと鳴く。
卵やヒナは黒色の斑のある保護色となっていて、砂礫地に溶け込んで外敵から見つかりにくくなっています。
そのため、気づかないままに、工事車両が卵やヒナを踏みつぶしてしまうといったことも起こっています。
コアジサシの親鳥が地上に集団で降りていたり、小魚を嘴にくわえて運んでいれば、そこで営巣している可能性があります。営巣が確認されれば、繁殖期間中の工事の休止などの配慮が必要です。
詳しくは、「コアジサシ繁殖地の保全・配慮指針」(環境省H26年2月)を参照してください。
コアジサシを守るために私たちにできること
- コアジサシの繁殖状況を調査し、実態を把握する
- 写真撮影などで繁殖コロニーに立ち入らないこと
- コアジサシの繁殖できる環境を創出する遊休地などを繁殖地として積極的に整備する
※東京都大田区の森ヶ崎水再生センターの屋上への誘致活動が有名(詳しくは、リトルターン・プロジェクト http://www.littletern.net/ 参照)